AIスマート空調は、光熱費の削減やカーボンニュートラルの達成を支援する空調システムです。このシステムを活用すると、企業は省エネ化や室内環境の快適性を向上させられます。
ただし「本当に効果があるのか不安」と考える方もいるでしょう。そこで本記事では、AIスマート空調の仕組みや効果、導入の流れなどを紹介します。
AIスマート空調の導入を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
AIスマート空調とは

AIスマート空調とは、人工知能(AI)の技術を活用して、室内環境を快適に保つ空調システムです。
その仕組みは簡単にいうと次の通りです。
※詳しくは後述します。
1. 空調のIoTセンサーが温度や湿度、人流などをリアルタイムでデータ化
2. データをもとにAIが最適な室温を維持するための指示を空調機に出す
AIスマート空調を導入すると、光熱費や人件費、CO2排出量の削減などの効果が期待できます。
ビル運営や管理を行う企業にとっては、持続可能な経営を実現する一助となるでしょう。
AIスマート空調の仕組み

AIスマート空調は、高度なIoTセンサーとAI技術によって構築されています。
その仕組みは以下の通りです。
1. IoTセンサーが人の動きや温度、湿度などをデータ化
2. データがインターネット経由でサーバーに送信
3. データをAIが解析
4. AIが快適な温度や湿度をコントロールし最適化
AIは、過去の蓄積データや現在の気象状況などから、未来の室内環境を予測できます。
たとえば、特定の時間に混雑するエリアがあるとします。その時間帯には、エリアの温度や湿度は上がるでしょう。
AIは学習により、その特定の時間とエリアで快適性が損なわれないように、冷房を強めようと働きます。
この先回りの制御により、急激な温度変化を防ぎ、人々の快適性を高めます。また、急に冷房を強めなくてよいため、消費エネルギーの抑制にもつなげることが可能です。
AIスマート空調の導入による効果

AIスマート空調の導入により、光熱費やCO2排出量の削減などの効果が期待できます。
ここでは、神戸大学の長廣剛(ながひろつよし)特命教授が行った実証実験を参考に、AIスマート空調の導入効果について詳しく解説します。
神戸「さんちか」の空調電力量を50%削減
神戸大学のカーボンニュートラル推進本部、長廣剛特命教授は神戸市内でAIスマート空調の実験を実施しました。
この実験の目的は、低炭素化を目指した空調の運用方法を検討することです。ここでは長廣剛特命教授が行った神戸の地下街「さんちか」の実験を紹介します。
神戸の地下街「さんちか」の実験では、2018年から段階的にAIスマート空調の導入に取り組みました。2018年は運転データを手動制御で構築し、2019年には前年のデータをもとに運用を実施。
その結果、AIスマート空調を取り入れていない時期を基準として、地下街の南北通路は2018年には42%、2019年には46%、2020年には61%の電力量の削減に成功しました。
また、2020年には地下街全体で、2018年比で50%の電力量を抑制しました。

AIによる空調制御により、地下街全体の空調電力量を抑えたことで、省エネが達成されたのです。
関西国際空港で空調の使い方を最適化
長廣剛特命教授は、関西国際空港でもAIスマート空調の実験を実施しました。
この実験は温度の変化を見える化して、利用者に温かい場所や涼しい場所を選んでもらうというものです。
ここで着目したのが「ペリメーター」です。ペリメーターとは、外気や日光の影響を受けやすく、温度が変化しやすい壁際のエリアを指します。
この部分の温度を見える化すると、利用者は自ら快適な場所を選ぶことができます。わざわざ空調を使って、温度を調節する必要がありません。
その結果、無駄な消費エネルギーを抑えられ、省エネにつながります。
冷蔵陳列代の冷気を活用して消費エネルギーを76%削減
スーパーマーケットの実験では、冷蔵陳列台の冷気を活用して、消費エネルギーを76%削減しました。
実験を行うまでのスーパーマーケットは、冷蔵陳列台から8℃の冷気を出して商品を冷やしているのに対して、店内の空調を15℃に設定している状況でした。
つまり、空調で冷蔵陳列台を温めていたことになります。
そこで、長廣剛特命教授は、冷気が下に行き暖気が上に行く性質を利用し、店内の空調をほとんど使用しない状況を実現しました。
そのやり方は、下に移動した冷気を吸い上げて店内に循環させるものです。冷房陳列代の冷気を部屋全体に回すことで、空調の消費エネルギーを76%削減させました。
関連記事:神戸大学のAIによる空調制御の実証研究とは?消費エネルギー削減に効果大
AIスマート空調を導入する流れ3ステップ

企業やビルオーナーがAIスマート空調を導入するためにはどうしたらよいのでしょうか。
AIスマート空調を導入するまでは、3ステップあります。
- 使用状況の把握とデータの活用方針策定
- システム設計と空調機のデバイス設置
- テスト運用から運用開始へ
この3つのステップを踏むと、所有するビルにAIスマート空調を導入することにつながります。
それぞれ順番にご覧ください。
1. 使用状況の把握とデータの活用方針策定
AIスマート空調を導入する最初のステップは、空調の使用状況の把握です。状況を把握して、エネルギーの消費パターンや現在の課題を洗い出します。
まず全体の消費量を把握します。既存の空調機がコンピューター制御されている場合は、多く使用されている時間や、使用されていない時間を日ごとにチェックしましょう。
次に収集した人流や気温、湿度、気流などのデータの活用方針を策定します。現在の空調システムの使用状況を加味して、導入施設に合った方針を策定する必要があります。
2. システム設計と空調機のデバイス設置
次に、運用に使うシステムを設計し、AIやIoTセンサーを設置します。システム設計は導入する施設によって変える必要があります。
たとえば、関西国際空港では、温度の変化が起きやすい「ペリメーター」というエリアの温度を見える化することで、人の行動変容を促すシステムが導入されています。
また、スーパーマーケットでは冷蔵陳列台の冷気を活用して、店舗全体の消費エネルギーを抑えるシステムが運用されています。
上記のように、導入する店舗やビルに合わせて空調システムを設計することで、消費エネルギーを最適化できます。
システムが組み上がったら、空調機にデバイスを設置しましょう。デバイスには人流を測定する人感センサーや、気流の流れを把握するセンサーなどがあります。
また、センサーからサーバーにデータを送るためのインターネット環境も構築します。
3. テスト運用から運用開始へ
センサーを設置したあとはテスト運用をします。テスト運用では、正しくデータを収集できるかをチェックします。
これは数回にわたって確認する必要があり、時間を要するものです。部屋の大きさや室温、室内にいる人数が最適かを確認して、正しいデータを収集します。
データに問題がないことを確認したら、実際にAIスマート空調の運用を開始します。最初はデータが溜まっていないため、最大限の活用はできません。
しかし、収集するデータの量が増えると、その分だけAIの精度も向上するでしょう。
AIスマート空調に関するよくある質問

AIスマート空調について、よくある質問をまとめました。
AIスマート空調の導入によって、自社のビル運営の課題解決にどのように役立つかをチェックしましょう。
- 導入できる建物に制限はある?
- カーボンニュートラルに貢献できる?
それぞれ解説します。
導入できる建物に制限はある?
AIスマート空調は、オフィスビルや工場、地下街、病院、百貨店など多様な建物に導入できます。基本的には既存の空調に連携させられるため、導入に当たって大きな制限はありません。
ただし、既存の空調の状態によっては、導入の難易度が上がる場合があります。たとえば、古い空調システムや特殊な設計の建物では、追加の工事が必要になることもあります。
導入にあたっては、事前に専門家による調査と適切な計画を行うことが重要です。
カーボンニュートラルに貢献できる?
AIスマート空調は、カーボンニュートラルに貢献します。
AIによる解析とIoTセンサーを用いたデータ収集を行うと、エネルギー効率を最大化でき、低炭素化を実現できます。
実際、神戸大学の実験では、多くの施設で低炭素化が達成されており、カーボンニュートラルに近づいています。
AIスマート空調は、持続可能なビジネス運営を推進し、カーボンニュートラルにも貢献するシステムです。
まとめ:AIスマート空調でビル管理が変わる

本記事では、AIスマート空調について仕組みや具体的な導入例を紹介しました。AIスマート空調は、先進的なAI技術とIoTセンサーを活用し、最適な空調管理を実現するシステムです。
快適な室内環境を維持しながら、光熱費の削減やCO2削減によるカーボンニュートラルへの貢献が期待できます。
株式会社メンテルでは、最先端の空調システムのソフトウェアを提供しています。ビル運営における、エネルギーの効率化やコスト削減の実現が可能です。
コメント