空調負荷の計算方法とは?業務用空調に必要な空調能力の目安を解説

空調負荷の計算方法とは?業務用空調に必要な空調能力の目安を解説

空調負荷とは「室温の維持に必要な熱量」を指します。空調設備は室温を安定させるために、熱を除去したり、供給したりする必要があるのです。

もし環境に対して空調設備の能力が十分でないと、室内の温度を一定に保つことが難しくなるでしょう。

つまり、空調負荷を計算して、それに見合う冷暖房能力のある空調を選ぶことが大切です。

そこで本記事では、空調負荷の計算方法と、業種ごとの空調能力の目安を解説します。

自社の業種にあった能力の空調設備がわかるので、快適な空間を作ることにつながります。ぜひ最後までご覧ください。

目次

空調負荷を計算する理由

空調負荷を計算する理由

空調負荷を計算する理由は次の3つです。

  • 快適性の確保
  • 空調機能の維持
  • 省エネの実現

空調負荷がわかると、室温を快適に保つために必要な冷暖房能力がわかります。

また、適切な空調機器の選定により、高負荷での運用を避けられ、コンプレッサーや熱交換器、フィルターの劣化が早まるのを防げるでしょう。

さらに、適切な運用により省エネにもつながります。

関連記事:空調負荷とは?負荷率を高める要因と低減させる3つの方法を解説

空調負荷の計算方法

空調負荷の計算方法

空調負荷の計算式(概算)は次の通りです。

熱負荷(W) = 単位熱負荷(W/m²) × 室内面積(m²)

単位熱負荷は空調を設置する環境により異なります。実際の数値と異なる可能性があるため、あくまで概算だということにご留意ください。

それでは、より詳しく計算方法を理解するために、単位熱負荷について見ていきましょう。

単位熱負荷とは

単位熱負荷とは「特定の床面積あたりに必要となる熱負荷」を指します。

同じ面積でも業種によって熱単位負荷が異なるため、各メーカーがそれぞれ目安を設定しています。

各メーカーによる業種ごとの単位熱負荷の目安

業種ダイキン工業株式会社パナソニック ホールディングス株式会社三菱電機株式会社
一般事務所105〜230W/m²115~170W/m²105〜230W/m²
一般商店160〜180W/m²155~230W/m²155〜230W/m²
飲食店190〜370W/m²230~370W/m²190〜370W/m²
理美容院230〜290W/m²230~290W/m²230〜290W/m²

注意点として、単位熱負荷は業種だけでは決まりません。

店舗の断熱性や利用客の人数、天井の高さなどさまざまな要因があるため、総合的に考えて空調を選ぶ必要があります。

業種ごとの空調能力の目安

業種ごとの空調能力の目安

一般的なエアコンの空調能力は「kW(キロワット)」ですが、業務用空調では「馬力」が用いられます。

馬力とkW、カタログ値の関係は以下の通りです。

カタログ値とは、メーカーが公表している製品の性能や仕様などの数値です。

馬力別空調性能

馬力定格冷房能力(kW)定格暖房能力(kW)カタログ値
1.5馬力3.64.0P40
1.8馬力4.04.5P45
2馬力4.55.0P50
2.3馬力5.05.6P56
3馬力7.18.0P80
4馬力10.011.2P112
5馬力12.514.0P140
6馬力14.016.0P160
8馬力20.022.4P224
10馬力25.02.0P280

これらを前提に、以下の業種の床面積あたりの空調能力を解説します。

  • 一般事務
  • 一般商店
  • 飲食店
  • 理美容院

業種に合った空調を導入するために、順番に見ていきましょう。

一般事務

一般事務に必要な空調能力の目安は以下の通りです。

冷房時の空調能力の目安

馬力カタログ値広さの目安
1.5馬力P40形30m²前後
1.8馬力P45形33m²前後
2馬力P50形36m²前後
2.3馬力P56形41m²前後
2.5馬力P63形46m²前後
3馬力P80形59m²前後
4馬力P112形82m²前後
5馬力P140形102m²前後
6馬力P160形117m²前後
8馬力P224形164m²前後
10馬力P280形204m²前後

一般事務のオフィスでは、パソコンやコピー機などのOA機器からの発熱も考慮しなければなりません。

また、従業員の人数が多いほど体から発生する熱量も増加するため、熱負荷が高くなります。

一般商店

一般商店には、服飾店や貴金属店、日用雑貨店などがあります。

一般商店に必要な空調能力の目安は以下の通りです。

冷房時の空調能力の目安

馬力カタログ値広さの目安
1.5馬力P40形22m²前後
1.8馬力P45形25m²前後
2馬力P50形27m²前後
2.3馬力P56形30m²前後
2.5馬力P63形34m²前後
3馬力P80形44m²前後
4馬力P112形61m²前後
5馬力P140形76m²前後
6馬力P160形87m²前後
8馬力P224形121m²前後
10馬力P280形152m²前後

冷蔵・冷凍ショーケースやホットドリンクのウォーマーを備えたコンビニやスーパーは、冷暖房負荷が高くなるため正確な負荷計算が求められます。

また、出入り口がオープンな店舗も冷暖房負荷が高くなるため、その分高馬力な空調機器が必要です。

飲食店

飲食店に必要な空調能力の目安は以下の通りです。

冷房時の空調能力の目安

馬力カタログ値広さの目安
1.5馬力P40形14m²前後
1.8馬力P45形16m²前後
2馬力P50形18m²前後
2.3馬力P56形20m²前後
2.5馬力P63形22m²前後
3馬力P80形29m²前後
4馬力P112形40m²前後
5馬力P140形50m²前後
6馬力P160形57m²前後
8馬力P224形79m²前後
10馬力P280形100m²前後

飲食店は、調理に強い火力を使うため、高い冷房能力が必要です。

また、焼肉店やカウンター席が多い店舗では、調理の熱が利用客に影響を与えやすいため、余裕を持った冷房能力が求められます。

このように、飲食店では調理場と客席の位置を考慮して空調を選択しなければなりません。

理美容院

理美容院に必要な空調能力の目安は以下の通りです。

冷房時の空調能力の目安

馬力カタログ値広さの目安
1.5馬力P40形16m²前後
1.8馬力P45形18m²前後
2馬力P50形20m²前後
2.3馬力P56形22m²前後
2.5馬力P63形25m²前後
3馬力P80形32m²前後
4馬力P112形44m²前後
5馬力P140形55m²前後
6馬力P160形63m²前後
8馬力P224形87m²前後
10馬力P280形110m²前後

床面積あたりの利用客が多い店舗では、ドライヤーを使用する頻度が多くなるため、冷房負荷が高くなります。

また、利用客は長時間同じ場所に座るので、空調の風向きには注意が必要です。

まとめ

本記事では、簡易的な空調負荷の計算方法や、業務用に必要な空調能力の目安を解説しました。

業務用空調を導入するには、空調負荷に合わせた馬力の製品を選ばなければなりません。

空調能力がその環境にあったものでないと、空調機器の寿命を縮めたり余計な電力を消費します。

株式会社メンテルは、AIやIoTを活用し、電力のモニタリングや設備の効率的な導入を支援するサービスを提供しております。

空調の細かな温度設定を自動化して、業務の効率化や空調の省電力運用が可能です。

空調の省エネ対策を検討している方は、お気軽に株式会社メンテルまでご相談ください。

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