パッシブデザインの日射遮蔽とは?5つの方法とメリットを徹底解説

パッシブデザインの日射遮蔽とは?5つの方法とメリットを徹底解説

「パッシブデザインの日射遮蔽って何?」
「冷房コストを抑えるにはどのような工夫をすればいいの?」

このような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

建物の省エネ性能を高める手法としてパッシブデザインは注目されています。なかでも、夏場の直射日光を防ぎ、冷房負荷を減らす日射遮蔽は、快適な室内環境をつくる上で欠かせません。

本記事では、パッシブデザインにおける日射遮蔽の基本や具体的な方法5つ、メリットなどを解説します。

本記事を読めば、日射遮蔽の考え方が明確になり、省エネでより快適な建物づくりのヒントが得られるはずです。ぜひ最後までご覧ください。

目次

パッシブデザインの日射遮蔽とは

パッシブデザインの日射遮蔽とは

パッシブデザインの日射遮蔽とは、夏場の直射日光を防ぎ、室内の温度上昇を抑えることで冷房負荷を軽減する手法です。

資源エネルギー庁によると、家庭のエネルギー消費の約30%が冷暖房です。適切な日射遮蔽を取り入れると、省エネとコスト削減の両面で効果を発揮します。

日射を遮るだけでなく、冬の採光も考慮した設計を行うことが、パッシブデザインの成功の鍵となるでしょう。

関連記事:パッシブデザインとは?エコで快適な建築物のメリットと注意点を解説

日射取得と日射遮蔽の違い

日射取得と日射遮蔽の違い

パッシブデザインでは、冬に太陽熱を活用する「日射取得」と夏に日射熱を防ぐ「日射遮蔽」の両方を適切に取り入れることが重要です。

日射取得と日射遮蔽は相反する要素ですが、どちらか一方に偏ると、冬に寒くなりすぎたり、夏に暑くなりすぎたりする可能性があります。

日射取得と日射遮蔽の違いをまとめました。

日射取得日射遮蔽
目的冬に太陽熱を取り入れ、暖房効果を高める夏に直射日光を遮り、冷房負荷を減らす
方法南向きの窓を大きくして日差しを室内に取り込む庇(ひさし)やルーバー・遮熱ガラスを活用して、直射日光をコントロールする

建物の立地や気候に応じて両者を適切に組み合わせると、快適な住環境と省エネにつながります。

パッシブデザインにおける日射遮蔽のポイント5つ

ッシブデザインにおける日射遮蔽のポイント5つ

効果的に日射を遮るためには、建物全体で日射熱の侵入を防ぐ工夫が欠かせません。日射は窓だけでなく屋根や外壁を通じても室内に影響を与えるため、建物全体を考えた遮蔽対策が必要です。

パッシブデザインにおける日射遮蔽のポイントは次の5つです。

  • 開口部を遮蔽する
  • 屋根や外壁への日射量を減らす
  • 屋根・外壁の反射性能を高める
  • 断熱性能を向上させ熱の伝達を抑える
  • 通気層や換気を利用し熱をこもらせない

一つひとつ見ていきましょう。

1.開口部を遮蔽する

資源エネルギー庁によると、窓やガラス面などの開口部は夏場の熱侵入の約7割を占めます。そのため、日射遮蔽を適切に行うと、室温の上昇を抑え冷房の効率を高められます。

開口部からの直射日光を防げないと、室内の温度が上がりやすくなり、冷房の負荷が増えてしまうでしょう。とくに、大きなガラス面を持つ建物では、遮蔽対策を怠ると光熱費が増えやすくなります。

開口部の日射遮蔽には、次の方法が有効です。

  • 遮蔽カーテン・ブラインド・ロールスクリーンの活用
  • 高遮熱ガラス・Low-Eガラスの導入

上記の対策を取り入れると、日射熱の侵入を防ぎつつ採光を確保できます。

2.屋根や外壁への日射量を減らす

屋根や外壁は太陽の熱を直接受けるため、日射量をコントロールする工夫が必要です。適切な設計を行うと、夏場の過剰な熱の侵入を防ぎつつ、冬場の採光も確保できます。

屋根や外壁に日射が当たると、熱が内部に伝わり室温が上昇します。とくに、夏場は日射角度が高くなるため、適切な遮蔽対策を施さないと冷房負荷が増えてしまうでしょう。

冬場は日射角度が低くなるため、採光を確保する工夫も必要です。屋根や外壁への日射量を減らすためには、以下の方法が有効です。

  • 庇や軒を設ける
  • 外付けルーバーや格子を活用する

上記の対策を適切に取り入れると、夏場の冷房負荷を抑えながら冬場の暖房効果も高められます。

3.屋根・外壁の反射性能を高める

屋根や外壁の反射性能を高めると、日射熱の吸収を抑えられ、室温の上昇を防げます。建材の色や塗料の選択が、建物の温熱環境を維持するのに重要です。

屋根や外壁の表面温度は、使用する素材や色によって大きく変わります。たとえば、黒い屋根は太陽光を吸収しやすく、晴天時には表面温度が90℃(※)まで上昇します。

一方、白い屋根は太陽光を反射しやすいため、60℃程度(※)です。無断熱の場合、屋根の表面温度の約25.7%(※)が室内に伝わるため、適切な対策が必要です。

屋根や外壁の反射性能を高めるためには、以下の方法が有効でしょう。

  • 遮熱塗料を使用して屋根や外壁の熱吸収を抑える
  • 日射反射率の高い、明るい色の屋根材や外壁材を選ぶ

上記の方法は屋根や外壁の温度上昇を抑えるため、冷房負荷を軽減しながら快適な室内環境を維持できます。

(※)参照:岐阜県立森林文化アカデミー|日射熱は屋根からもやってくる

4.断熱性能を向上させ熱の伝達を抑える

建物の断熱性能を高めると、外部からの熱の侵入を防ぎ、室内の温度変化を抑えられます。

屋根や壁の断熱が不十分だと、夏には外部の熱が室内に入り込み、冬には室内の温かい空気が外に逃げやすくなります。その結果、冷暖房の負荷が増え、光熱費の上昇につながるでしょう。

建物全体の断熱性能を向上させると、外気の影響を受けにくい快適な空間を作れます。断熱性能を向上させる対策は次の2つです。

  • 断熱材の厚みを増やし、熱の侵入を防ぐ
  • 屋根や壁の断熱施工を強化し、温度変化を抑える

適切な断熱対策を施すと、夏は涼しく冬は暖かい室内環境を維持しやすくなり、冷暖房コストの削減にもつながります。

5.通気層や換気を利用し熱をこもらせない

建物の熱ごもりを防ぐには、通気層や換気システムを活用して、熱を効率的に排出することが重要です。

屋根裏や外壁に熱がこもると室内に熱が伝わりやすくなり、空調効率が下がる可能性があります。とくに夏場は屋根裏の温度が非常に高くなるため、適切に換気しないと建物全体の温度が上昇します。

そのため、空気の流れを作り熱を排出する仕組みが必要です。以下のような、通気層や換気を利用した対策を取りましょう。

  • 屋根裏換気を設置してこもった熱を外へ排出する
  • 外壁や屋根に通気層を設けることで、温度上昇を抑制する

エアコンに頼りすぎることなく、効率的に温度管理を行うためには、換気システムが欠かせません。

パッシブデザインにおける日射遮蔽のメリット

パッシブデザインにおける日射遮蔽のメリット

パッシブデザインにおける日射遮蔽のメリットは次の3つです。

  • 夏の室温上昇を抑え、エアコンの使用を減らせる
  • 快適な室温を維持しやすい
  • 目隠し効果やプライバシー確保にも役立つ

順番に解説していきます。

夏の室温上昇を抑え、エアコンの使用を減らせる

日射遮蔽を行えば、夏の室温上昇を抑え、エアコンの使用を減らせます。その結果、冷房コストの削減につながり省エネ効果も期待できるでしょう。

庇や外付けルーバーを設置すると、夏の強い日射を遮りつつ、冬の低い日射角を活かした採光が可能です。また、遮熱ガラスやブラインドを活用すれば、室温を効率的にコントロールできます。

日射遮蔽をすると、エネルギー効率が高い建築を可能にします。

快適な室温を維持しやすい

日射遮蔽を取り入れると、外気温の影響を受けにくく、室温が均一になりやすいメリットがあります。そのため、局所的な暑さ・寒さを防ぐことができ、季節を問わず過ごしやすい環境を保てるでしょう。

過度な冷暖房の使用を抑えられるため、快適な室温の維持だけでなく、結果として身体への負担も少なくなります。

目隠し効果やプライバシー確保にも役立つ

日射遮蔽は外部からの視線を遮る役割もあります。周囲に建物が密集する都市部では、近隣からの視線が気になるものです。

その場合、カーテンやブラインドを閉めがちですが、採光や通風が妨げられてしまいます。ただし、適切な日射遮蔽を施せば、視線を遮りながら自然光を取り入れやすくなります。

室温調整とプライバシー保護を両立できるため、より快適な空間を構築できるでしょう。

まとめ

本記事では、パッシブデザインにおける日射遮蔽の基本や具体的な5つの方法・メリットを解説しました。

適切な日射遮蔽を取り入れると、冷暖房に頼りすぎずに快適な室温を維持できるため、省エネ効果を高められます。建物の立地や気候に応じた方法を組み合わせると、より効果的な環境設計が実現できるでしょう。

株式会社メンテルは、組織設計・ゼネコン出身のプロフェッショナルが複数名在籍しており、実務に即した環境解析と設計支援を提供しています。

パッシブデザインの導入を検討されている企業様は、ぜひ一度ご相談ください。

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