「パッシブデザインの昼光利用ってなに?」
「昼光を利用した省エネ方法を知りたい」
このような疑問がある方もいるのではないでしょうか。
パッシブデザインとは、自然エネルギーを利用して快適な室内環境と省エネを両立する設計手法です。そして昼光を利用すると、照明をつけなくても快適に過ごせます。
しかし、昼光利用の具体的な方法は?と問われると、わからない方もいるでしょう。
そこで本記事では、パッシブデザインにおける昼光利用の手法やメリットを具体的に解説します。
パッシブデザインの昼光利用とは

パッシブデザインの昼光利用とは、日中に照明をつけずに、太陽光を取り入れて室内を快適な明るさにする手法です。
具体的には窓や天窓、ライトシェルフなどを用いて、太陽光を屋内に取り入れます。
ただし、季節や地域によって太陽光の強さは変わるため、過剰な明るさにならないように注意しなければなりません。
日射をコントロールできる庇やカーテンなどと組み合わせて、室内の明るさや温度をコントロールし、快適性と省エネを両立させる必要があります。
関連記事:パッシブデザインとは?エコで快適な建築物のメリットと注意点を解説
パッシブデザインの昼光の種類

昼光を効果的に利用するためには、その性質を理解することが大切です。
性質は次の4つにわけられます。
- 直射日光
- 天空光
- 地物反射光
- 室内反射光
昼光を利用して室内の明るさを最大限にするために、ぜひご覧ください。
1. 直射日光
直射日光とは、拡散や反射を経ずに直接太陽から届く光を指します。
直射日光は、太陽の位置や天候によってエネルギー量が大きく変わるため、照度予測が難しい特徴があります。
強い照度は室内温度を上昇させるため、季節に応じて日射を遮断して、コントロールすることが重要です。
関連記事:パッシブデザインの日射遮蔽とは?5つの方法とメリットを徹底解説
2. 天空光
天空光とは、太陽光が大気中の水蒸気やチリによって拡散・吸収されたあとに到達する光です。
直射日光に比べて、照度が均一になりやすい特徴があります。天空光は窓や天窓の位置を調整すると実現できます。
時間帯による光の強さや天候の影響を受けにくいため、照明として取り入れるには最適な光です。
3. 地物反射光
地物反射光とは、直射日光や天空光が周囲の建物や樹木などで反射されて、室内に到達する光です。
その強さは、反射される地表面の素材や色によって大きく異なります。反射を利用するため、直射日光では届かないエリアにも光を届けられます。
ただし、照明としては光が弱く利用は限定的です。
4. 室内反射光
室内反射光は、窓や扉から入ってきた太陽光が天井や壁、床などで反射した光です。
室内反射光を上手に利用すれば、窓を設置できない部屋でも光を届けられ、建物全体の明るさを均一化できます。
明るい色や反射率が高い素材を用いると、反射効率を高められます。一方、暗い色や光を吸収しやすい素材は、反射しにくく室内が暗くなるでしょう。
室内の内装材を工夫すると、室内反射光を最大限に活かすことが可能です。
昼光の利用方法

パッシブデザインの昼光利用の方法は、大きく次の2つです。
- 採光手法
- 導光手法
昼光で心地よい明るさを確保するために、順番に見ていきましょう。
採光手法
採光手法とは、窓から直接差し込む光を利用して、照明をつけずに明るい環境を作り出す手法です。
採光を利用するためのポイントは、窓の配置と大きさやガラスの透過率です。採光では「多面採光」を行います。多面採光とは、部屋の複数の面に窓を設置して、光を取り入れる手法です。
複数の窓を設置すると、その分だけ部屋を明るくできます。また、昼光は季節や時間帯によって、強さや入射角度が変化します。
そのため、大きな窓を設置すると、より多くの自然光を取り入れられるでしょう。さらに、ガラスの透過率が高い分だけ、昼光を室内に拡散させられます。
ただし、透過率が高いと、室温が上昇する可能性があるため、庇やカーテンで日射量をコントロールすることが重要です。
導光手法
導光手法とは、窓から室内に入った光を、奥の空間に届ける手法です。導光手法を利用すれば、窓の設置が難しい部屋にも昼光を届けられます。
その具体例は以下の通りです。
使用設備 | 具体例 |
吹き抜け | 上階からの光を下階に導く |
反射素材 | 天井や壁、床を反射性の高い素材で仕上げる |
ライトシェルフ | 窓の上部に設置して、入射した光を天井に反射させる |
光ダクト | 内面が鏡のように光を反射するダクトで、窓から入った光を特定の場所へ届ける |
パッシブデザインの昼光利用のメリット

パッシブデザインの昼光利用のメリットは次の3つです。
- 省エネの実現
- 温室効果ガスの排出量の削減
- 健康的な室内環境の創出
それぞれ詳しく見ていきましょう。
省エネの実現
昼光を利用すれば、日中に照明を使わない時間を増やせるため、エネルギーコストの削減が可能です。実際に国土交通省は、昼光を理想的に利用すれば、照明の電力消費を60%ほど削減できるとしています。
夏でもブラインドやレースカーテンなどで強すぎる日射を遮れば、適度に昼光を取り入れられるでしょう。一日あたりの照明の電力消費量は僅かですが、一年を通して積み重ねるとその効果は無視できません。
温室効果ガスの排出量の削減
昼光利用による省エネは、温室効果ガスの排出量の削減にもつながります。日本の主な発電方法は、火力発電です。火力発電は化石燃料を燃焼させるため、温室効果ガスである二酸化炭素を排出します。
そのため、電力消費量を削減できれば、温室効果ガスの削減が期待できます。
また、昼光利用により照明機器の負担を減らして長寿命化できれば、交換や廃棄時に発生する温室効果ガスの削減も期待できるでしょう。
昼光利用は温室効果ガスの排出量を削減し、地球温暖化の防止につながると注目されています。
健康的な室内環境の創出
昼光は、室内に自然な明るさをもたらし、リラックスできる空間を提供します。もともと人間は日の出とともに起床し、日が沈むと休息を取る生き物です。
日中に太陽光を浴びれば、セロトニンの分泌が促進され、リラックス効果が期待できるでしょう。生活リズムが整い睡眠の質が向上するとされています。睡眠の質が向上し生活リズムが整いやすくなります。
また、昼光を利用して落ち着いた室内環境を目指すには、外部からの視線を遮る工夫も必要です。
窓ガラスをすりガラスに変更したり、目隠しフィルムを利用したりすれば、プライバシーにも配慮した室内環境となるでしょう。
参考:
厚生労働省|セルフメンタルヘルス
文部科学省|第3章 健康なくらしに寄与する光 2 光の治療的応用―光による生体リズム調節―
まとめ
本記事では、パッシブデザインにおける昼光利用の手法やメリットを具体的に解説しました。
昼光を取り入れると、室内にいながら自然光を浴びて、心地よい時間を過ごせます。同時に照明の使用頻度を減らし、省エネ効果も期待できるでしょう。
しかし、昼光を適切に利用するためには、建物の立地や地域に応じた日射の計算が必要です。
株式会社メンテルでは、経験豊富なスタッフによる環境解析と設計支援を提供しております。パッシブデザインの導入を検討されている方は、ぜひ一度ご相談ください。
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