「オフィスの空調の電気代を抑えたい」
「テナントビルと自社ビルで節電方法は異なるの?」
このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
資源エネルギー庁によると、オフィスの電気代のうち空調は全体の約49%を占めます。設備の老朽化や無駄な運転が重なると、電気代がさらに膨らみます。
オフィスビルの空調を省エネ化するには、適切な手法を理解して実践することが大切です。そこで本記事では、オフィスビルの空調を省エネにする方法や注意点を紹介します。
最後までお読みいただき、自社のオフィスビルに合った省エネ方法を見つけてみてください。
オフィスビルごとの空調の特徴

空調設備の仕組みや管理方法、導入できる省エネ手法は異なります。
本章では、テナントビルと自社ビルの空調の特徴を解説します。
テナントビル
テナントビルの特徴は、個別空調が採用されているケースが多いことです。
テナントビルでは、フロアや区画ごとに使用状況や勤務形態が異なるため、個々で温度設定や運転管理をしやすい仕組みが求められます。
個別空調では室内機ごとに運転を制御できるため、柔軟に冷暖房のオン・オフや温度調整が行えます。
一方で、設備の入れ替えやシステム全体の大規模な改修は、管理会社やビルオーナーの判断が必要になるケースがほとんどです。
自社ビル
自社ビルの特徴は、建物の所有者が空調設備全体を自社で管理・運用できることです。
テナントビルに比べて、建物全体を一括制御できる中央熱源が採用されるケースも比較的多いです。
中央熱源では、熱源・送風・配管設備がビル全体で共有されており、運転状況を一括して調整・管理できます。
また、設備更新や制御システムの見直しなども、建物所有者の判断で柔軟に実施することが可能です。
オフィスビルの空調を省エネ化する方法

オフィスビルの空調設備は、ビルの形態によって中央熱源と個別空調にわかれます。
そこで空調設備の種類を問わず実践できる省エネ方法を、順番に解説します。
- 高効率空調機に変更して消費電力を抑える
- 室内レイアウトを工夫して空気の流れを良くする
- 定期的にフィルター清掃して効率を維持する
ひとつずつ見ていきましょう。
高効率空調機に変更して消費電力を抑える
古い空調機から高効率空調機へ変更すると、大きな省エネ効果が期待できます。
ダイキン工業株式会社の調査では、2007年製の空調設備を2022年製のモデルに更新したことで、最大約55%の省エネが確認されました。
高効率空調機の特徴は、長寿命でメンテナンスの負担が軽くなることです。さらに補助金の対象となるケースもあります。
たとえば、東京都は高効率空調設備や全熱交換器・LED照明設備などを対象にした補助制度を設けており、中小企業の設備更新を支援しています。
このような制度を活用すれば、初期費用の負担を軽減しながら省エネ化を進めることが可能です。
室内レイアウトを工夫して空気の流れを良くする
空調効率を高めるには、室内のレイアウトを整え、空気の流れを妨げないようにすることが重要です。
空気の流れを良くするために、次のような工夫を取り入れましょう。
- 窓の近くに大きなキャビネットや棚を置かない
- 外気の滞留を防ぐために、間仕切りの配置場所を考慮する
- 空気の流れが遮られてしまう場合は、サーキュレーターで循環を促す
適切なレイアウトによって空気が部屋全体に行き渡ると、温度ムラがなくなり空調機が過剰に稼働するのを防げます。
定期的にフィルター清掃して効率を維持する
空調の省エネを進めるうえで効果的な手法は、フィルターの定期的な清掃です。
フィルターにホコリや汚れが溜まると、空気の流れが悪くなり、空調機が余分な電力を消費する原因になります。
環境省では空調機のフィルター清掃を2週間に一度行うことを推奨しています。清掃によって冷房時で約4%・暖房時で約6%の消費電力の削減が可能です。
フィルター清掃は簡単に行えるため、すぐに実践しやすい省エネ対策です。

自社ビルの空調を省エネにする方法

自社ビルで中央熱源を使用していると想定した場合の、空調の省エネ方法を紹介します。
- BEMSを活用して無駄な運転を減らす
- インバーター制御で消費電力を抑える
- ダクト清掃で空調ロスを防ぐ
- AI・IoT制御で最適な運転を行う
それではご覧ください。
BEMSを活用して無駄な運転を減らす
自社ビルの空調を省エネ化するには、BEMS(Building Energy Management System)の活用がおすすめです。
人がいない部屋の空調を自動的に停止したり、従業員がいる時間帯だけ稼働させたりといった運転管理が可能になります。
BEMSについては、次の記事で詳しく解説しています。

インバーター制御で消費電力を抑える
自社ビルの空調を省エネ化するには、インバーター制御の導入が有効です。
同技術を活用すると、必要な分だけゆるやかに運転を調整できるため、温度の急な変化を防ぎながら、安定した温度管理ができます。
インバーターを搭載していない空調機は、室温が目標に達するまでフルパワーで運転し、到達すると停止する動作を繰り返します。
1日の中で気温差が大きい季節や空調負荷がかかる時間帯では、高い省エネ効果が期待できるでしょう。
ダクト清掃で空調ロスを防ぐ
自社ビルの空調を省エネ化するには、ダクト清掃によるメンテナンスも重要です。
ダクト内にホコリやカビが溜まると空気の流れが悪くなり、送風能力が低下します。
必要な冷暖房効果を得るために、余計な電力を消費することになります。定期的なダクト清掃を行うと、空調機への負荷を軽減可能です。
AI・IoT制御で最適な運転を行う
自社ビルの空調を省エネ化するには、AI・IoTによる最適制御の導入が効果的です。
AIが過去の運転データや気象情報を分析し、IoTセンサーが室温や湿度、熱源の動きをリアルタイムで検知します。
これらの情報をもとに最適な温度設定や運転モードへ自動調整できます。快適性を維持しながら、省エネ効果の向上に貢献するでしょう。
AIとIoTを活用した空調制御については、以下の記事で詳しく解説しています。

テナントビルの空調を省エネにする方法

テナントビルで個別空調を使用している場合に実践しやすい、省エネ方法を紹介します。
- 温度設定を適正に見直して電力消費を抑える
- ブラインドや遮熱カーテンで外気の影響を防ぐ
- 未使用エリアは空調停止でムダを減らす
順番に見ていきましょう。
温度設定を適正に見直して電力消費を抑える
テナントビルを省エネ化するには、温度設定の見直しが必要です。
環境省によると、室温は夏季28℃・冬季20℃が目安と推奨されています。
設定温度を1℃変更するだけで、消費電力が冷房時で約13%・暖房時で約10%変わるとされており、必要以上の稼働を避けられます。
社内で温度管理のルールを定めたり、温度計を常に確認できたりすると、安定した運用を行うことが可能です。
空調効果を高める温度設定は、下記の記事で詳しく解説しています。

ブラインドや遮熱カーテンで外気の影響を防ぐ
省エネを目指すなら、ブラインドや遮熱カーテンの活用がおすすめです。
テナントビルでは、夏は日射熱によって室温が上がり、冬は窓から冷気が入り込み室温が下がりやすくなります。
ブラインドや遮熱カーテンを活用して、夏は日差しを遮り冬は暖気が逃げないよう閉めることで、空調の設定温度を強めなくても快適な室温を維持できます。
季節に応じた工夫で窓際の断熱性を高めれば、冷暖房コストの削減につながるでしょう。
未使用エリアは空調停止でムダを減らす
空調の無駄を減らすには、未使用エリアでの運転をこまめに停止することがポイントです。
会議室や休憩スペースなど、人が常にいるわけではない場所では、空調を稼働させ続ける必要はありません。
人がいる時間に合わせて空調を自動でオン・オフすれば、使っていない時間の無駄な消費電力を減らせます。
日常的な運用の工夫が、省エネにつながります。
オフィスビルの空調を省エネ化するときの注意点

オフィスビルの省エネ対策を進める際は、主に以下の点に注意が必要です。
- 新システムに慣れるまでに運用の負担が生じる
- 自社ビルでは初期投資が大きくなる場合がある
- 室温管理が適切でないと快適性や生産性に影響する
- テナントビルでは管理会社の承認が必要なケースがある
ただし、温度設定やゾーン制御を活用すれば快適性と省エネは両立でき、設備投資も電気代削減によって長期的に回収が期待できます。
必要な場所だけを効率的に空調できるため省エネ化を実現できます。運用も安定すれば、現場の負担は軽減されるでしょう。
まとめ:オフィスビルの空調を省エネにしよう
本記事では、オフィスビルの空調を省エネにする10の方法を解説しました。
自社ビルではBEMSやインバーター制御・ダクト清掃・AI・IoT制御など、設備投資による抜本的な対策が可能です。
とくに株式会社メンテルが提供するAIとIoTセンサーを活用した温度制御は、快適性を保ちながら空調の無駄な運転を抑えられます。
一方、テナントビルでは、温度設定やブラインド活用・空調停止など、日々の運用改善で省エネが進められます。
どちらの方法も、まずは今すぐできることから取り組みましょう。空調の省エネにお悩みの方は、ぜひ株式会社メンテルまでお気軽にご相談ください。