今回の記事では不動産環境認証取得の流れを解説していきます。内容としては以下の通りとなります。
- 不動産環境認証取得の流れについて
- 国内の不動産環境認証取得においての期間と費用について
ここからはそれぞれについて解説していきます。
不動産環境認証取得の流れについて
不動産環境認証取得においては対象となる不動産及び規模によって流れが以下の通り異なります。
- 新築で申請する場合
- 既存建物の申請する場合
ここからはそれぞれについて解説していきます。
新築で申請する場合

新築建物で申請する場合は以下のような流れで進んでいきます。
設計・建築フェーズ | 環境認証フェーズ |
---|---|
建物の計画を始める | ①どの認証で②どの程度のレベルを取得するか検討する |
設計着手 | 設計において費用対効果の検証を行い、取得する認証とレベルを整理する |
設計完了 | 設計段階で取得できる認証を取得する |
工事着手 | 完了後に速やかに申請できるように準備しておく |
工事完了 | 完了後速やかに申請する |
運用開始 | 取得した認証を確認する 取得した認証を維持できるように建物管理を行う |
新築で申請する場合は、設計完了段階で取得できる認証があることがポイントです。例としてはCASBEE街区認証における計画認証やZEHにおける計画認証があります。
なぜ、計画認証を取得するかというと、分譲マンションやオフィスビルにおいては竣工前に販売や賃貸募集をする必要があり、その際に出来上がる物件のクオリティを出来る限り具体的に示すことで営業活動の支えになるのです。
特に大型物件においては計画認証を取得するケースが多いので、競合案件がどのような認証でどのようなクオリティの評価を受けているのかは調べることが良いでしょう。
また、分譲マンションの場合は購入者、オフィスの場合は入居するテナントがどのような認証を求めているかを調べることも重要でしょう。
竣工後にはそれぞれの認証を正式に申請していくことになります。特にヒアリングなどにおいてはオーナーだけでなく管理会社にもヒアリングが必要となる場合が多いため、日常的な管理についてもきちんと意識合わせをしておくと良いでしょう。
また、運用開始後においても認証を取得した際の運営・管理体制を継続していくことが重要となるので、現実的に継続することを前提とした中で運営・管理体制を管理会社とともに計画していくと良いでしょう。
既存建物で申請する場合

次に既存建物で申請する場合の流れについて解説していきます。
こちらも新築の場合と大きくは変わりませんが、改修工事を行うかどうかがポイントとなります。
設計・建築フェーズ | 環境認証フェーズ |
---|---|
既存建物の運用中 | ①現状の建物のクオリティと運営においてどの認証のどの評価を取得できるかを調べる ②改修工事を実施した場合の評価を調べる |
設計着手 (改修工事を行う場合) | 設計において費用対効果の検証を行い、取得する認証とレベルを整理する |
設計完了 | |
改修工事着手 | 完了後に速やかに申請できるように準備しておく |
改修工事完了 | 完了後速やかに申請する |
改修後の建物運用開始 | 取得した認証を確認する 取得した認証を維持できるように建物管理を行う |
既存建物の認証取得の場合は、まず改修前の既存の状態でどの程度の認証を取得できるかを理解することがポイントです。
改修を前提にしていない場合にはそのまま申請に移っていきますが、
まず、対象の建物本来のポテンシャルにおいて上位の認証取得が難しい場合は、ほかの部分でいくら改修を行っても費用対効果が出ない場合があります。
新築工事の場合と異なり、改修工事においては計画認証を取得するケースはかなり稀といえるでしょう。
国内の不動産環境認証取得においての期間と費用について
DBJ Green Building認証の期間と費用について

DBJ Green Building認証の流れ、及び期間と費用については以下の通りとなります。
順番 | 業務 |
---|---|
① | スコアリングシートへの記入・提出 |
② | 机上での仮評価と結果の通知 |
③ | 正式な依頼 |
④ | 物件実査・インタビュー |
⑤ | 認証会議 |
⑥ | 認証付与・プレスリリース |
認証までの期間について | 認証有効期間について | 認証にかかる費用 |
---|---|---|
申請から約1~2カ月程度 | 認定から3年間有効 | 60万円程度 ※申請費のみ |
DBJ Green Building認証の特徴は他の申請と異なり、認証機関である一般社団法人日本不動産研究所が直接申請を受けるという点です。
また、認証については母体が日本政策投資銀行ということもあり、認証を得た物件は金融業界での一定の評価を得たことを証明するものとなります。
CASBEE認証の期間と費用について

CASBEE認証の流れ、及び期間と費用については以下の通りとなります。
順番 | 業務 |
---|---|
① | 認証機関への事前相談 |
② | 申請受付・請求書発行 |
③ | 手数料の支払い |
④ | 評価員による審査~指摘事項送付・補正 |
⑤ | 評価認証書交付 |
⑥ | 評価認証の公表 |
認証までの期間について | 認証有効期間について | 認証にかかる費用 |
---|---|---|
申請から約2カ月程度 | 認定から3年間有効 | 60万円程度 ※申請費のみ |
CASBEE認証には、建築、戸建て、不動産、街区、ウェルネスオフィスと非常に種類が多いことが特徴です。
また、建築においては新築・既存・改修にも分かれており、どのジャンルで申請を行うかどうかは専門家に相談することが良いでしょう。
参照:一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター CASBEE評価認証制度
BELS認証の期間と費用について

BELS認証の流れ、及び期間と費用については以下の通りとなります。
順番 | 業務 |
---|---|
① | 申請書を作成して申請 |
② | 書類受取・申請受付 |
③ | 審査開始 |
④ | 審査完了後 評価書、プレート発行 |
⑤ | プレート注文可能 ※オプション |
認証までの期間について | 認証有効期間について | 認証にかかる費用 |
---|---|---|
申請から約1~2カ月程度 | 無 | 約20万円~40万円 |
BELS認証の特徴は、圧倒的な認証件数の多さで日本で一番取得されている不動産に関する環境認証の一つです。
また、数値次第ではBELSの上位認証といえるZEB認証の取得を目指すこともできるので、ZEBも併せて認証することが良いでしょう。
ZEB認証の期間と費用について

ZEB認証の流れ、及び期間と費用については以下の通りとなります。
順番 | 業務 |
---|---|
① | ZEBの設計 |
② | ZEB認証手続き ※BELS評価でBEIが0.5以下であることが必要 |
③ | ZEB補助事業申請 ※必須ではない |
④ | 補助事業の実績報告書提出 |
認証までの期間について | 認証有効期間について | 認証にかかる費用 |
---|---|---|
申請から約1~2カ月程度 | 5年間 | 約20万円~40万円 |
ZEB認証の特徴とは、ほかの申請と異なり取得に当たって補助金事業となる点です。令和5年度の補正予算として約61億円の予算が組まれております。
まとめ
今回の記事では国内認証の流れと期間、費用について解説してきました。
大まかな流れは同じですが、認証の期間や費用などそれぞれ違いがあることが理解できたかと思います。
それぞれの期間や費用なども考慮しながらどの認証を取得していくかを検討すると良いでしょう。