ルーバーを取り付けると、日射遮蔽で冷房負荷を抑制したり、日差しと視線をコントロールしたりして、快適な空間をつくれます。
ただし、機能やメリット・デメリットなどを正しく理解しないと、ルーバーを使用しても期待した効果を得られない恐れがあります。
そこで本記事では、ファサードにルーバーを付けた建築のメリットやデメリット、事例を紹介します。
ルーバーのメリットがわかると、省エネや快適性の観点から顧客に効果的な提案ができるようになるため、ぜひ最後までお読みください。
ファサードにルーバーを付けた建築について

ファサードにルーバーを付けた建築とは、建物の正面から見た外観(ファサード)に羽板を一定の間隔で縦または横に並べた建材(ルーバー)を設置した建築デザインのことです。
従来、ルーバーは日射や視線を遮る目的として使用されてきましたが、近年はデザイン性の高さからファサードに取り入れる事例が増えています。
ルーバーに使用される素材は、主に天然木・人工木・アルミ・ガラスの4種類です。各素材には独自の特徴があり、建物の用途や求められる性能に合わせて選択できます。
ファサードにルーバーを取り付けた建築の主なメリット
ファサードにルーバーを取り付けた建築のメリットは以下のとおりです。
- 日射遮蔽により冷房負荷を抑制できる
- 日差しと視線を抑制して快適な空間をつくれる
- シンプルで落ち着きのあるデザインにできる
ルーバーのメリットは、クライアントへの強力な提案材料になるので、ぜひご覧ください。
1. 日射遮蔽により冷房負荷を抑制できる

角度のあるガラリ形状のルーバーは日射遮蔽効果が高く、窓辺の温度上昇や空調効率の低下、紫外線による内外装材劣化を防げます。
とくに高層建築物や周囲に空地のある建物は、影に入りにくく長時間日差しにさらされるため、ルーバーを使用するのが望ましいでしょう。
また、設計段階でルーバーの方角や位置を調整すると、室温が低い朝や冬場に太陽光を室内に効率的に取り入れられます。
ルーバーにより冷房負荷を抑制し省エネを促せば、ライフサイクルコストが低い建物を建築できる設計事務所・ゼネコンとしてアピールできます。
2. 日差しと視線を抑制して快適な空間をつくれる
住宅のベランダやバルコニー、商業施設の外壁ガラスにルーバーを設置すれば、日差しと外部の視線を調整でき、快適性とプライバシーの保護を両立できます。
とくに建物が密集している地域や商業施設の周辺は、人の往来が多く、私生活が見えやすい環境です。
また、商業施設の外壁がガラスの場合、直射日光や照り返しにより快適性が損なわれ働きにくさにつながることもあるでしょう。
ルーバーを設置すると、日差しと視線を抑制でき、結果として入居者の定着率やテナントでの働きやすさ向上が期待できます。
ルーバーの活用が「快適性の高さ」につながるとして、顧客に提案することも可能です。
3. シンプルで落ち着きのあるデザインにできる
ファサードにルーバーを取り付けると、落ち着いた印象の建物を建築できます。
ルーバーの素材や色、形を組み合わせれば、建築物に独自性を与えられるため、デザイン性が高くなるでしょう。
たとえば、後述する「JAPAN SPORT OLYMPIC SQUARE」は、建物全体に曲線的なルーバーが取り付けられており、シンプルで落ち着きながらも躍動的な外観があります。
ルーバーを活用すると他の設計事務所と差別化ができ、独創的かつ落ち着いたデザインの設計が可能なことをアピールできます。
ファサードにルーバーを取り付けた建築の主なデメリット
ファサードにルーバーを取り付けた建築のデメリットは次のとおりです。
- 強風時に振動や風切り音が発生しやすい
- 木製ルーバーは劣化が早い
- 建設・メンテナンスコストがかかる
プロジェクトの発注者からのクレームを防ぐために、一つひとつ見ていきましょう。
1. 強風時に振動や風切り音が発生しやすい
外付けルーバーは断面形状やピッチ、角度によって、強風時に渦励振やエオリアン音が発生する恐れがあります。
とくに建物の高層階やコーナーでは、振動や風切り音が発生しやすいため注意が必要です。
振動や音の程度によっては住民から苦情が寄せられ、大規模な補修工事が必要になる場合があります。
ゼネコンや設計事務所にとって、強風時のルーバーの振動や風切り音は顧客からの信頼を失いかねない重大な問題です。
設計段階での風洞および空力騒音評価、実大モックアップを実施し、ルーバーを取り付けても問題がないか確認しましょう。
2. 木製ルーバーは劣化が早い
木製ルーバーは経年や雨風、湿気により腐敗し、食害の被害を受ける恐れがあります。
木造建築の法定耐用年数は22年とされていますが、樹種選定や塗装によるメンテナンスを行わないと早期に腐敗するため注意が必要です。
ルーバーが劣化すると、曲がったり折れたりするため、建物の外観に品がなくなることや、雨漏りにつながります。
木製ルーバーを採用する場合、紫外線や雨風から保護するためのメンテナンスが必要なことを前提としましょう。
3. 建設・メンテナンスコストがかかる
ルーバー付きの外装は、壁とは別に支える骨組みやアンカーが必要なため、建設費用は一般的な建物より高くなります。
高層階にルーバーを取り付けるならば、強風や振動に耐えられるか確かめる試験も必要になり費用がかさむでしょう。可動ルーバーならば、制御盤やセンサー、強風時のロック機構などの試運転調整も必要です。
また、再塗装やサビ対策、足場を使った清掃など、ルーバーのない建物に比べて、メンテナンス費用が積み重なります。
発注者に提案する際には、設計段階でライフサイクルコストを前提に見積もり、採用可否を判断することが重要です。
ファサードにルーバーを取り付けた建築事例
ファサードにルーバーを取り付けた建築事例を3つ紹介します。
- たつみ工業株式会社
- マクドナルド金沢ツタヤ店
- JAPAN SPORT OLYMPIC SQUARE
建物にルーバーを取り入れる際のモデルケースとしてご活用ください。それぞれ順番に見ていきましょう。
たつみ工業株式会社

株式会社TOPPANの環境デザイン事業部が設計を手がけた、たつみ工業株式会社の新築工場では、6タイプのルーバーをランダムに配置しています。
顧客からは「工場周りの森林に同調させたい・工場と思わせないような外観にしたい」などの要望がありました。そこで3色×2形状の計6タイプのルーバーを使用し、周辺環境との調和を図りつつも工場とは思わせない和モダン調の外観に仕上げています。
ルーバーの設置間隔を150mmピッチと広めにとることで、日が差した際に影ができ、時間帯によって異なる表情を見せるファサードを実現しました。
単調になりがちな工業建築にオリジナリティを加え、まさに森林と一体になっていることをイメージできるデザインです。
マクドナルド金沢ツタヤ店

有限会社プラス建築設計が設定したマクドナルド金沢ツタヤ店は、景観条例により、色や形態に制約がある中でルーバーを効果的に活用しました。
木製ルーバーを使用し、通常店舗のマクドナルドとは異なる落ち着きのあるデザインに仕上がっており、金沢の伝統的な町並みと調和しています。
さらに夜間はルーバーを間接照明で照らすことで、温かみのある光が町に溶け込み、店舗の存在感を適度にアピールできています。
この事例は厳しい景観の制限がある場合でもルーバーの取り付けにより、洗練されたデザインに仕上がることを証明しました。
JAPAN SPORT OLYMPIC SQUARE

株式会社三菱地所設計が設計・監理・ランドスケープを手がけたJAPAN SPORT OLYMPIC SQUAREは、ルーバー面にスリットを設けて日射遮蔽と昼光利用を両立した建物です。
本施設の最大の特徴は、ルーバーの形状デザインだけで、光をコントロールする性能を建築外皮にもたせた点です。
ルーバーがすべての日射を跳ね返さないように、スリットを設けて自然光を取り入れています。直射日光は反射しながらも、スリットに反射した光を間接光として採り入れ、ルーバー裏面の輝度を上げています。
この技術により、室内に自然光が届き、日中の照明電力を抑えることが可能となりました。
まとめ|省エネ視点からルーバーを取り入れるならメンテルにご相談ください
本記事では、ファサードにルーバーを取り付けた建築について解説しました。
ルーバーを取り付けると、冷房負荷の抑制や日差しと視線の制御、洗練されたデザインの創造が可能です。
株式会社メンテルでは、設計実務のプロが省エネの観点からルーバーの最適な導入計画を環境シミュレーションを通じてサポートします。
ルーバーにより得られる省エネ効果に興味がある方は、ぜひ一度メンテルにご相談ください。