パラメトリックデザインは、建物の形や寸法をルールでつなぎ、設計を自動で修正・生成する手法です。
同手法を導入すると、設計の自動化や一貫変更ができ、作業時間の短縮につながります。
しかし、機能やメリットを正確に把握しておらず、導入するか悩んでいる方も多いでしょう。
そこで本記事では、パラメトリックデザインのメリットやツール、建築事例を紹介します。
パラメトリックデザインが、設計作業の時短やデザイン性の向上につながることがわかり、導入の判断を正しく行えるようになるので、ぜひご覧ください。
パラメトリックデザインとは
パラメトリックデザインとは、建物の形状や寸法にパラメーター(変数)を設定し、その数値を変更することでデザインを生成・修正する建築手法です。
従来の建築手法では、寸法を一つひとつ手動で決める必要がありました。
しかし、パラメトリックデザインではパラメーターを設定しルール化しているため、ひとつの数値を調整するだけで建物全体のデザインを変更できます。
これにより作業時間を大幅に短縮しながら、整合性の取れた設計が可能になりました。
また、数値の組み合わせを変えると数多くの設計ができるため、設計者の想定を超える新しいデザインを創造できるようになります。
建築にパラメトリックデザインを取り入れるメリット
建築にパラメトリックデザインを取り入れるメリットを3つ紹介します。
- 設計プロセスを自動化できる
- 整合性を保ちながら設計を一貫変更できる
- 斬新なデザインを創造できる
業務効率化やデザイン力の向上が期待できるため、ぜひご覧ください。
設計プロセスを自動化できる
建築にパラメトリックデザインを取り入れれば、規則性のある作業を自動化できます。
手作業では時間のかかる作業も、ルール化により数値を入力するだけで即座に反映されます。
自動化させるための複雑なプログラミング知識は不要で、GrasshopperやDynamoなどの専用ツールがあれば直感的な操作が可能です。
単純作業を自動化できれば、設計者は他の業務に時間を割けるようになり、プロジェクト全体の品質向上や効率化につながります。
整合性を保ちながら設計を一貫変更できる
パラメトリックデザインによって生み出されたデザインは、形状や寸法が数値と連動しています。
ひとつの数値を調整すれば、紐付けられた他の要素が同時に修正され、整合性が取れる仕組みです。
たとえば、階段の高さを変更すると、段数や手すりの長さ、天井の高さなども自動で変更されます。
従来の設計作業では、クライアントからの要望変更や設計ミスがあった場合、一から修正が必要でした。
しかし、数値の調整だけで建築物のサイズや比率などが変更できると、修正作業が効率化され、品質の向上や人件費の削減が見込めます。
斬新なデザインを創造できる
パラメトリックデザインでは数値の組み合わせを変えるだけで、多様なデザインを自動的に短時間でつくり出せます。
人間が思いつきにくい斬新なデザインの創造も可能です。奇抜なデザインでもルールに基づいて形状が生成されるため、整合性は保たれます。
ゼネコンや設計事務所は、競合他社にはない独自性の高いデザインをつくることで、企業のブランド力や提案力の向上につなげられます。
建築にパラメトリックデザインを導入できるツール
建築にパラメトリックデザインを導入できるツールを2つ紹介します。
- Grasshopper(グラスホッパー)
- Dynamo(ダイナモ)
ツールの概要を確認して導入するか判断してみましょう。
Grasshopper(グラスホッパー)

Grasshopper(グラスホッパー)は、3次元モデリングソフト「Rhinoceros(ライノセラス)」に搭載されている、ビジュアルプログラミング言語です。
Grasshopperは膨大な数のシミュレーションを実行し、人間が想像しにくいユニークなデザインの生成を行えます。
作業の流れが画面上で可視化されているため、プロジェクトメンバー全員が設計プロセスを把握できる点も大きなメリットです。
導入費用がかかるものの、新たなデザインの創造や設計プロセスの明確化により、プロジェクト全体のクオリティ向上につながります。
参考:Grasshopper
Dynamo(ダイナモ)

Dynamo(ダイナモ)は、オープンソースのビジュアルプログラミングツールです。
コードを一切書かず、図形をマウスで動かす直感的な操作でプログラムを作成できます。
同ツールを導入すると、ルーティンワークや単純作業の自動化により労力を削減し、効率化を図ることが可能です。また、社内でプログラムを共有すれば、誰でも同じ結果を得られます。
プログラミング経験が少ない設計者でも導入しやすく、メリットが大きいツールといえます。
参考:Dynamo
パラメトリックデザイン建築の具体例
パラメトリックデザイン建築の具体例を3つ紹介します。
- The Exchange|隈研吾建築都市設計事務所
- V&A Dundee|隈研吾建築都市設計事務所
- Heydar Aliyev Center|Zaha Hadid Architects
パラメトリックデザインを導入した際に、どういった設計ができるようになるのかイメージを明確化させてみましょう。
The Exchange|隈研吾建築都市設計事務所

The Exchangeは隈研吾建築都市設計事務所が設計した、オーストラリア・シドニーの複合施設です。
建物全体を取り巻くように設置された木製スクリーンは、Grasshopperで円形の要素を組み合わせながら配置されています。
巨大な鳥の巣のようなファサードは、ユニークながら周辺環境と調和し、街並みに溶け込んでいます。
The Exchangeはパラメトリックデザインによって、独自性と機能性を両立させた事例です。
V&A Dundee|隈研吾建築都市設計事務所

V&A Dundeeはスコットランド北部のダンディー市にある美術館です。隈研吾建築都市設計事務所によって設計されました。
外壁のプレキャストコンクリートのバーは、パラメトリックデザインを活用して角度や配置を調整しながら水平に積み重ねられています。
近くに流れるテイ川を意識したデザインは、川と建築がひとつに融合した新しい環境調和型建築として高く評価されています。
V&A Dundeeはパラメトリックデザインの無作為性を活用し、美しいデザインに仕上げた事例です。
Heydar Aliyev Center|Zaha Hadid Architects

Heydar Aliyev Centerはアゼルバイジャンの首都バクーにある文化複合施設です。
2012年5月にお披露目された同建物は、Zaha Hadid Architectsにより設計されました。流れるような曲線が特徴で、直線的な建築様式とは大きく異なる造形を持ちます。
複雑な曲線はパラメトリックデザインによって生成され、機能性とデザイン性を両立させています。
曲線が連続するエレガントな外観は、従来の建築手法では思いつきにくい造形を、パラメトリックデザインにより可能とした事例といえるでしょう。
まとめ|パラメトリックデザインのご相談ならばメンテルにお任せください
本記事では、パラメトリックデザインの概要やメリット、ツールについて解説しました。
パラメトリックデザインを活用すれば、設計作業の効率化や斬新なデザインの創造を行えます。しかし、自社だけではパラメトリックデザインを活用しきれない場合もあるでしょう。
株式会社メンテルでは、省エネの観点からパラメトリックデザインと設計に関する課題解決をサポートします。
パラメトリックデザインを導入して省エネの観点から建築設計に活かしたい方は、ぜひ一度メンテルにご相談ください。