倉庫に適した業務用空調の費用や選び方をわかりやすく解説

倉庫に適した業務用空調の費用や選び方をわかりやすく解説

倉庫は広く天井が高い上に、風通しが悪いケースがあるため、空気を循環させるのが難しいとされています。そのため、屋根や外壁から伝わった熱がこもりやすくなります。

倉庫の運営者は、従業員の健康や物品の品質を維持するために、空調の設置を検討することが大切です。

本記事では、倉庫に空調が必要な理由や適した設備の費用、種類を解説します。倉庫内が暑く、作業環境の改善を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

倉庫に空調が必要な3つの理由

倉庫に空調が必要な3つの理由

倉庫は一般的な住宅に比べて窓が少なく風通しが悪いため、熱がこもりやすくなっています。また、断熱性も低く直射日光の影響を受けやすいとされています。

そのため、倉庫に空調を設置して、空気の循環をよくすることがポイントです。倉庫に空調が必要な具体的な理由は以下の通りです。

  • 熱中症を予防するため
  • 物品の破損を防ぐため
  • 生産効率の低下を防ぐため

順番に見ていきましょう。

熱中症を予防するため

厚生労働省は、熱中症を以下のように定義しています。

熱中症とは、高温多湿な環境下において、体内の水分及び塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称

引用:厚生労働省|熱中症を防ごう!

このため、風通しが悪く直射日光の影響を受けやすい倉庫では、熱中症のリスクが非常に高いといえます。

さらに、気象庁によると1991〜2020年の平均気温の基準値の偏差は+1.76℃です。年々平均気温は上昇しているため、熱中症対策が必要不可欠です。

出典:気象庁|日本の夏(6〜8月)平均気温偏差の経年変化(1898〜2024年)

熱中症が重症化すると脳に後遺症が残る恐れもあります。最悪の場合、命の危険もあるでしょう。

熱中症を予防するには、高温多湿な作業環境の回避、小まめな水分・塩分の補給などの対策が必要です。

従業員の健康を守るためには、空調による熱中症対策が求められます。

物品の破損を防ぐため

プラスチックや精密機械などは温度変化によって、変形・破損する可能性があります。

食品や医薬品、化粧品なども温度変化により、腐敗や劣化が生じるため適切な温度管理が必要です。

これらの物品を保管するには、それぞれに適した温度を把握することが重要です。

たとえば、一般的な温度区分として「常温」「冷蔵」「冷凍」という温度基準(3温度帯)があります。倉庫の種類は、3温度帯に「定温」を加えた4つの温度基準に分けられます。

食品の温度帯と保管例

温度帯保管食品例
常温倉庫清涼飲料水・砂糖など
定温倉庫(10〜20℃)生鮮果実・生鮮野菜など
冷蔵倉庫(-5〜5℃)食肉・固形油脂など
冷凍倉庫(−15℃以下)冷凍食品類

上記のように倉庫に保管する物品に応じた適切な温度管理が必要です。

生産効率の低下を防ぐため

高温多湿な倉庫環境では、熱中症だけではなく生産効率の低下も見逃せません。

日本建築学会環境系論文集によると、一部の研究では作業効率が最大となる温度を22℃とし、21〜22℃に至るまでは効率がよくなりました。ただし、23〜24℃を超えると作業効率が低下したモデルがあったようです。

高温環境により人体が受ける影響は、体温の上昇や心拍数、酸素消費量の増加、発汗・脱水などです。

これらが集中力や判断力、身体機能の低下を引き起こし、生産性の低下につながると考えられています。

倉庫の空調にかかる費用

倉庫の空調にかかる費用

倉庫の空調にかかる費用としては、主に以下の3つが挙げられます。

  1. 空調本体の費用
  2. 工事の費用
  3. 維持費

自社の倉庫に空調を導入する際は、これらの費用も考慮する必要があります。必要最小限の費用に抑えるために、ひとつずつ見ていきましょう。

1. 空調本体の費用

業務用空調の本体費用は、おおむね15〜100万円以上です。

業務用空調には、天井埋込型(カセット型1〜4方向)や床置型、天吊型、ビルトイン型などがあります。ただし、種類による価格の違いはほとんどありません。

本体価格を決める要因は主に以下の通りです。

  • 空調能力(馬力)
  • 機能

◾️空調能力(馬力)
業務用空調の能力は、一般的に馬力で表されます。馬力が大きくなるほど、コンプレッサーや熱交換器のサイズも大きくなり、より高性能なものが必要になるため価格が高くなります。

◾️機能
エコタイプや高機能の空調は、本体価格が高くなりがちです。エコタイプの空調は、インバーターによって圧縮機を制御して高効率な運用ができます。高機能なインバーターには、電力制御用の基板や電子部品が必要です。

これらの機能を追加すると製造コストが増加するため、販売価格もその分高額になります。

2. 工事の費用

空調の工事費用は、設備の種類と設置環境により異なります。空調の種類と工事費用の目安は以下の通りです。

空調の種類工事費の目安
天吊型7万〜20万円
床置き型5万〜18万円
天井埋め込み型8万〜21万円
ビルトイン型12万〜25万円

天井埋め込み型やビルトイン型は、天井に本体を埋め込んで配管を通す必要があるため、工事費用が高額です。逆に、天吊型や床置き型は安価になります。

また、倉庫の天井が高い場合、高所作業になるため工事費用が高くなるでしょう。室外機と室内機が離れている場合は、配管工事が複雑になりその分費用がかかります。

3. 維持費

業務用空調の維持費には「電気代」と「メンテナンスコスト」があります。

業務用空調は、馬力が大きくその分電力を多く使用します。

たとえば、1kWh当たりの電気料金の目安単価を31円 / kWhと仮定し、4馬力(10.0kW)の空調を24時間稼働させたとしましょう。その電気代は1ヶ月で約23万円です。

10.0(kW)×31(円 / kWh)×24(h)×31(日)=230,640円

※目安単価:令和4年7月22日に改定された31円/kWh(税込)を参照

また、空調設備のメンテナンスコストもかかります。専門業者にメンテナンスを依頼する場合、その費用は1台あたり約1〜5万円です。

また、フィルターや熱交換器の定期的な清掃も必要です。空調の清掃を怠ると、空調効率の低下を招いたり、空調内にカビが発生したりするでしょう。

このため、専門業者にメンテナンスを依頼する費用が発生します。

関連記事:空調のフィルターを清掃する効果的な方法は?掃除の頻度や注意点も解説

倉庫に適した空調の種類

倉庫に適した空調の種類

倉庫に適した業務用空調のタイプは以下の通りです。

  • 天吊形
  • 床置き型

自社の倉庫に合った空調を選ぶために順番に見ていきましょう。

天吊形

天吊型は、室内機本体を天井から吊り下げて設置するタイプの空調です。

その特徴は次の通りです。

天吊型の特徴概要
冷暖房効果が広範囲・吹き出し口が広く広範囲での冷暖房効果がある
後付け設置が可能・天井に室内機を埋め込む必要がない
設置に条件付き・天井に耐荷重がないと設置できない
・天井の高さが5mを超えると冷暖房が床まで届きにくい

天井が高い倉庫では、空調単体で使用するのではなく、サーキュレーターのような空気を循環させる工夫が必要です。

床置き型

床置き型は、室内機を床に直接設置するタイプの空調です。天吊型では空調効果が得られにくい天井が高い倉庫に適しています。

床置き型の特徴は次の通りです。

床置き型の特徴概要
工事費用が安価・室内機の設置に複雑な工事がいらない
冷暖房効果がピンポイント・吹き出し位置が低く、冷暖房を直接届けられる
容易なメンテナンス・室内機が床にありメンテナンスがしやすい
倉庫内の狭小化・倉庫の保管・作業場所を圧迫する場合がある

まとめ

本記事では、倉庫に適した業務用空調の費用や選び方を解説しました。倉庫には、品質管理や作業員の健康管理という理由から空調の設置が求められます。

倉庫に空調を導入するためには、倉庫の特徴や使用環境に応じて適切に選ばなければなりません。

株式会社メンテルでは、AIとIoTセンサーの活用により、電力と環境をモニタリングし、効率的な空調管理を支援します。

無駄な電力消費を抑えられるため、空調の省エネ化につなげることが可能です。倉庫へ空調の導入を検討している方は、この機会にぜひご相談ください。

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