空調負荷とは、室温を安定化させるために必要な熱量を指します。
空調負荷を低減させると、電気代の削減につながります。ただし、空調負荷を低減させる方法がわからない方も多いでしょう。
そこで本記事では、以下の3つを解説します。
- 空調負荷とは
- 空調負荷に影響を与える要因
- 空調負荷を低減させる方法
空調を効率よく運用したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
空調負荷とは

空調負荷とは、室温の維持に必要な熱量(kcal/h)のことです。冷房負荷とも呼ばれています。
空調負荷には以下2つがあります。
- 冷房負荷
- 暖房負荷
それぞれ見ていきましょう。
関連記事:空調負荷の計算方法とは?業務用空調に必要な空調能力の目安を解説
冷房負荷
冷房負荷とは、室温を安定させるために、空調設備が取り除かなければならない熱量を指します。
冷房負荷には以下の2つの要素があります。
屋内で発生する熱 | 室内で稼働する照明器具や家電製品、人間の活動による熱 |
外部から流入する熱 | 壁や窓を通して室内に侵入する熱 |
上記の熱源から生じる熱を適切に除去すると、室内の温度を快適に保つことが可能です。
冷房負荷を正確に把握し、適切な空調設備を選定すると、エネルギー効率の向上や快適な室内環境の維持に直結します。
暖房負荷
暖房負荷とは、室温を安定させるために、空調設備が共有する必要がある熱量です。
外気が冷えている場合、室内の熱は換気や外壁を通じて、外に逃げやすくなります。そのため、暖房により熱損失を補う必要があるのです。
暖房負荷は以下の2つに分類されます。
貫流熱損失 | 壁や窓などの建物外皮を通じて外部へ逃げる熱 |
換気熱損失 | 換気によって失われる熱 |
貫流熱損失は、外気と室内の温度差により生じる熱損失で、建物の断熱性能や機密性に影響を受けます。換気熱損失は、空気の入れ替え時に損失する熱です。
空調負荷に影響を与える3つの要因

室内環境を快適な状態にするには、空調負荷をできるだけ抑える必要があります。
そのため、空調負荷に影響を与える要因を把握することが重要です。
その要因は以下の3つです。
- 外気温
- 屋内発熱
- 断熱性能
空調負荷を低減するために、それぞれの要因を見ていきましょう。
1. 外気温
外気温は、空調負荷に直接的な影響を及ぼす重要な要因です。
夏季には外気温が高く、建物の外壁や窓、換気扇などを通して室内に熱が侵入します。このとき、空調は室内の熱を取り除く必要があるため、冷房負荷が増加するのです。
たとえば、外気温が35℃で室内が28℃の場合、熱は外壁やガラス面を通じて屋内に流入します。
一方、冬季には外気温が低く、室内の熱が外部へ逃げやすくなります。空調は部屋を温めるために熱を供給するため暖房負荷が増加します。
このように、外気温の変動は、季節ごとに空調負荷の増減に大きく影響するのです。
2. 屋内発熱
屋内発熱とは、室内で発生する熱源からの熱量です。照明器具や家電製品、人間の活動などが挙げられます。
これらの熱源は、室温上昇を引き起こし、冷房負荷の増加につながります。
とくに、工場やオフィスなどで多くの機器が稼働していると、内部発熱が大きくなり、空調設備にかかる負荷も増えるでしょう。
屋内発熱の適切な管理は、空調負荷の低減に直結します。
3. 断熱性能
建物の断熱性能は、空調負荷に大きな影響を与えます。
断熱性能が高い建物は、外気との熱の出入りを抑制し、室内の温度変動を最小限に抑えることが可能です。その結果、冷暖房の必要性が減少し、空調負荷の軽減につながります。
一方、断熱性能が低い建物は、外気温の影響を受けやすく、室温が不安定になります。室温が変化しやすくなると、空調設備にかかる負荷が増加するでしょう。
適切な断熱材の使用や建物の気密性の向上は、空調負荷の低減につながります。
・空気の通り道が多い構造の建物
・窓やサッシが多くある建物
空調負荷を低減させる方法3選

空調負荷を低減させれば、空調機器の寿命を伸ばし電気代の削減にもつながります。
空調負荷を低減させる方法は以下の3つです。
- 外気導入量の最適化
- 全熱交換器の導入
- 定期的なメンテナンス
初期投資が必要な方法もありますが、省エネを実現するために、ぜひご覧ください。
外気導入量の最適化
外気導入量をなるべく少なくして、外気と屋内の熱の移動を最適化すれば空調負荷の低減につながります。
外気の熱による負荷には「構造体負荷」と「ガラス面負荷」があります。
構造体負荷 | 外壁や屋根、床などから建物に流入する熱量 |
ガラス面負荷 | ガラスを通して室内に流入する熱量 |
これらの熱量の出入りを最適化するためには、外壁に直射日光があたらないようにしたり、二重窓を導入したりする必要があります。
内外の熱の移動を最適化させ、空調負荷を低減させましょう。
全熱交換器の導入
全熱交換器は、室内から排出される熱や冷気を回収して、再び室内に取り込む装置です。
窓を開けて換気しなくても、室内の空気を入れ替えられるため、温度変化を抑えることが可能です。
全熱交換器には、以下のような付加価値があります。
導入のメリット | 全熱交換器の効果 |
省エネ効果 | 温度変化の抑制により、室内負荷を低減させ省エネにつなげる |
快適性の向上 | 換気による熱移動を抑えて新鮮な空気を取り入れるため快適な室内環境を維持できる |
結露の防止 | 湿度も一定に保つため、梅雨や冬季には結露を防止できる |
定期的なメンテナンス
空調負荷を低減するには、定期的なメンテナンスも必要です。メンテナンスの必要がある部分は「フィルター」と「熱交換器」です。
◾️フィルター
フィルターがホコリやチリで汚れると、空気の流れが阻害され、冷暖房の効きが悪くなります。空調が設定温度に達するまでの多くのエネルギーを消費するため、空調負荷が増加するでしょう。
◾️熱交換器
熱交換器には、取り込んだ空気を冷やしたり温めたりする機能があります。同機器がホコリやチリで汚れると、機能が妨げられてしまうでしょう。機能の維持には定期的な清掃が必要ですが、専門業者への依頼が推奨されます。
関連記事:空調のフィルターを清掃する効果的な方法は?掃除の頻度や注意点も解説
まとめ
本記事では、空調負荷の概要や高まる要因、低減する方法を解説しました。空調負荷が増えると、空調機器の寿命を縮め、電力使用量も上昇します。
空調負荷を低減するには、定期的な空調機器のメンテナンスや外気導入量の最適化、全熱交換器の導入などの対策が必要です。
株式会社メンテルでは、AIやIoTを活用した支援により、空調の細かな温度設定の自動化や、電力使用量のモニタリングを実現させます。
空調の省エネ対策を検討している方は、ぜひ株式会社メンテルまでご相談ください。
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