GrasshopperのHoneybeeを用いた、昼光利用の最適化の検討

GrasshopperのHoneybeeを用いた、昼光利用の最適化の検討

近年、建築設計における持続可能性への関心が高まる中、自然光を効率的に利用する「昼光利用」が注目されています。昼光を適切に取り入れることで、人工照明の使用を削減し、エネルギー消費を抑えることができます。その実現のためには、設計段階での詳細なシミュレーションが欠かせません。本記事では、GrasshopperのプラグインであるHoneybeeを用いて、昼光利用を最適化する方法について解説します。

GrasshopperのHoneybeeを用いた、昼光利用の最適化の検討
目次

Honeybeeとは

Honeybeeは、RhinocerosのビジュアルプログラミングツールであるGrasshopper用のプラグインで、エネルギー性能や環境シミュレーションを行うための強力なツールです。特に昼光シミュレーションにおいては、RadianceやDaysimなどの高度なシミュレーションエンジンと連携して、詳細な結果を得ることができます。

主な機能

  • 昼光シミュレーション: 建物内部への自然光の入り方を解析。
  • エネルギーシミュレーション: 昼光利用による人工照明削減効果を算出。
  • 建築設計支援: 設計初期段階から詳細な環境パフォーマンスを評価。

昼光利用最適化のステップ

1. モデルの準備

最初に、Rhinocerosで建物の3Dモデルを作成します。この段階で、以下の要素を考慮する必要があります。

  • 窓や開口部の位置
  • 建物の形状と方位
  • 周囲の遮蔽物(他の建物や樹木など)

このモデルをGrasshopperでインポートし、Honeybeeコンポーネントを適用します。今回は、周辺の街区モデルにはPLATEAUの公開データを用いて、解析対象の建物はGrasshopperでモデリングしました。

1. モデルの準備
1. モデルの準備

2. シミュレーション条件の設定

Honeybeeでは、昼光シミュレーションを行うために以下の条件を設定します。

  • 気象データ: 地域の気象条件を考慮するために、EPWファイルを使用します。
  • 材料特性: 壁や窓の反射率や透過率を指定します。
  • 時間条件: シミュレーションを行う時間帯や季節を設定します。

EPWファイルはLadybugで取得をし、Honebeeコンポーネントの”HB Room”と”HB Model”で構築したモデルを解析対象とします。

2. シミュレーション条件の設定

3. 昼光シミュレーションの実行

HoneybeeのRadianceエンジンを使用して、昼光シミュレーションを実行します。結果として、以下のデータが得られます。

  • 室内の照度分布
  • 日射量
  • 視覚的快適性

これらの結果は、色分布図や数値データとして出力されます。今回は、”HB Annual Daylight”のコンポーネントを用いて解析を実行し、昼光利用を評価する指標として、”DA”・”sDA”・”UDI”を用います。これらの計算を異なるファザードに対して実行し、評価指標を比較することで最適なファザード形状を探索します。

3. 昼光シミュレーションの実行
3. 昼光シミュレーションの実行

4. 結果の分析

得られたシミュレーション結果を基に、建物設計の改善点を特定します。

  • 照度が不足している箇所を特定し、窓の配置やサイズを調整。
  • 過剰な日射がある場合は、ルーバーやブラインドの追加を検討。
  • 照明システムの設計に反映させ、エネルギー効率を向上。

ファザード形状だけでは周辺建物に阻害されて昼光利用が出来ない東エリアが存在したので、トップライトを追加で設けることを検討しました。トップライトの大きさや配置パターンの組み合わせを設けて、各パターンの計算を実行して解析結果を比較検証することで、最適なトップライトの配置条件を探索します。

4. 結果の分析
4. 結果の分析

実例: オフィスビルの昼光利用設計

ある都市部のオフィスビルを例に、昼光利用の最適化を検討しました。

  1. 設計条件: 南向きの大きな窓を持つ5階建てのビル。
  2. シミュレーション結果: 南側エリアでは照度が十分である一方、北側エリアで不足が判明。
  3. 改善案: 北側には天窓を追加し、室内全体に均一な照度を確保。

このように、Honeybeeを活用することで設計の課題を的確に把握し、具体的な改善策を講じることができました。

例えば、都市型オフィスビルにおいて、昼光利用の最適化を考えます。このケースで、Honeybeeを用いたファザードやトップライトの形状の違いによる昼光利用のシミュレーションを行うことで、最適なパッシブ環境を見つけることができます。


Honeybeeの活用メリット

  • 高精度な分析: RadianceやDaysimといったプロフェッショナル向けエンジンと連携。
  • 柔軟な設計検討: 窓の位置やサイズを簡単に変更してシミュレーション可能。
  • 省エネ効果の可視化: 昼光利用によるエネルギー削減効果を具体的に示せる。

無料で始める環境シミュレーション

Rhinocerosは有料のソフトウェアですが、Honeybeeは無料で利用可能なオープンソースツールで初学者でも手軽に始められます。公式ウェブサイトやYouTubeチュートリアルを参考にすれば、基本操作を短時間で習得可能です。

  1. RhinocerosとGrasshopperをインストール。
  2. Ladybug Toolsの公式サイトからHoneybeeをダウンロード。
  3. チュートリアルに従い、基本的な昼光シミュレーションを実施。

まとめ

Honeybeeを用いた昼光利用の最適化は、持続可能な建築設計に欠かせない手法の一つです。無料で利用できるツールとして、建築設計者や環境エンジニアにとって非常に有用です。本記事を参考に、実際のプロジェクトでぜひ活用してみてください。

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