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ホテルの空調の仕組みとは?クレームの対策と省エネについて解説

ホテルの空調の仕組みとは?クレーム対策と省エネについて解説

「宿泊客から部屋が暑いとクレームが出る」
「空調の音がうるさいと口コミを書かれた」

このような悩みがある方もいるのではないでしょうか。

宿泊客に快適に過ごしてもらうためには、適切な空調管理が大切です。

しかし、温度や音、臭いの感じ方は人によって異なるため、空調管理に頭を悩ますこともあるでしょう。ときには空調が原因でクレームに発展する可能性もあります。

そこで本記事では、ホテルの空調管理の仕組みやクレームの原因と対策、さらに省エネ施策について詳しく解説します。

目次

ホテルの空調設備の種類と仕組み

ホテルの空調設備の種類と仕組み

ホテルの空調設備の種類と仕組みを把握すると、自社にとって最適な設備がより明確にわかります。

ホテルの空調設備は大きく次の3種類です。

  • 全館空調
  • 個別空調
  • 全館空調・個別空調の併用

なお、全日本ホテル連盟のアンケート調査によると「集中管理型」(全館空調)の回答割合が 48.2%ともっとも高いようです。次いで「個別空調型」が26.8%、「個別空調型と集中管理型」が 19.6%です。

客室の空調設備の割合
出典:ANHAアンケート調査報告書2022年3月(令和4年)のデータより株式会社メンテルが作成

 

それでは、各空調設備のメリット・デメリットを詳しく解説するので、順番に見ていきましょう。

全館空調

全館空調は1ヶ所に集中した熱源装置で各階の熱源装置に送り、建物全体の温度をコントロールする空調方式です。

この方式は、大型の熱源管理機を設置するスペースが必要で初期コストもかかります。そのため、延床面積10,000㎡以上の大型のオフィスビルや病院、ホテルなどで採用される場合が多くあります。

メリット・デメリットは以下の通りです。

メリット・建物内の温度を均一にできる
・個別空調に比べて省エネになる
・室内機が不要なため静音性に優れる
デメリット・各個室ごとの温度設定が難しい
・故障時はホテル全体の空調が停止する
・故障時の修理費用が高額になる

個別空調

個別空調は、各部屋ごとに独立して温度を調整できる空調システムです。

室外機と室内機が1対1のパッケージエアコンと、室外機ひとつで複数台の室内機を動かすマルチエアコンがあります。

客室ごとに専用の空調機器が設置されているため、宿泊客は温度や風量を自由に調整できます。

メリット・宿泊客が自由に温度設定ができるため快適性が高い
・空調トラブル発生時の影響が小さい
デメリット・宿泊客が自由に温度設定できるため使いすぎる場合もある
・各部屋に室内機があるためメンテナンスコストが高い

全館空調・個別空調の併用

全館空調と個別空調を併用すれば、それぞれのメリットを得られます。

たとえば、エントランスや宴会場、廊下などを全館空調、客室を個別空調にすれば、経済性と快適性を両立できます。

全館空調のホテルが客室に個別空調を導入すれば、顧客満足度の向上につながるでしょう。ただし、新たに個別空調を導入する場合、屋外に室外機を設置するスペースが必要です。

メリット・客室の快適性が高い
・個別空調のみよりも経済的になる
デメリット・個別空調を追加導入するなら室外機の設置スペースがいる
・全館空調と個別空調の両方にメンテナンスが必要になる

ホテルの空調に関するクレームと対策

ホテルの空調に関するクレームと対策

宿泊客に快適に過ごしてもらうには、適切な空調管理が必要です。しかし、ホテルの設備や環境によって、さまざまな課題もあります。

ホテルの空調でよくあるクレームは以下の4つです。

  1. 温度の細かな調整ができない
  2. 湿度管理が難しく乾燥する
  3. 空調から嫌な臭いがする
  4. 空調の音がうるさい

宿泊客の顧客満足度を向上させるために、原因と対策を把握しましょう。

1. 温度の細かな調整ができない

体感温度には個人差があるため、細かな温度設定ができないと、暑い・寒いなどのクレームが発生する場合があります。とくに、全館空調で客室の温度調整が個別に設定できないホテルに多いです。

対策としては以下が挙げられます。

  • 客室に個別空調を設置する
  • 客室の温度調整ができないことを伝える
  • 扇風機やヒーターを個別に貸し出す

◾️客室に個別空調を設置する
客室に個別空調を設置するには導入コストがかかり、室外機の設置スペースも必要です。ただし、高効率の個別空調を導入すれば日々の電気代の上昇を抑えられます。

◾️客室の温度調整ができないことを伝える
宿泊者のチェックイン時にホテル全体で温度を設定しているため、客室ごとに調整ができないことを伝えて理解を求めます。

◾️扇風機やヒーターを個別に貸し出す
個別空調が導入できない場合、個別に扇風機やヒーターを貸し出して対応すると、細かな温度設定が可能になります。

2. 湿度管理が難しく乾燥する

乾燥も快適性に大きな影響があります。

暖房によって冷たい外気が暖められると、空気中の水分量が不足するため、肌や喉が乾燥しやすくなります。冬季の乾燥は皮膚トラブルや喉の痛みなど健康問題にも発展するでしょう。

対策は客室に加湿器を設置することです。加湿器を使用すると、空気中の水分を補うことが可能です。ただし、加湿器は定期的に清掃をしないとカビの発生につながるので注意しましょう。

また、湿度コントロール機能のついた空調システムを使うと、冬季の乾燥を防げる可能性があります。気温が低く暖房をよく使う地域のホテルは導入を検討しましょう。

関連記事:全館空調が乾燥する理由は?5つの対策と湿度が下がるデメリットとは

3. 空調から嫌な臭いがする

空調の嫌な臭いの原因は、室内機やダクト内に発生したカビやタバコの臭いです。

カビは温度が25〜30度かつ、湿度80%以上の高温多湿な環境で発生しやすくなります。また、客室で喫煙された場合、チェックアウト後もタバコの臭いが染み付くでしょう。

対策は以下の通りです。

  • 定期的に換気をする
  • 空調のフィルターを清掃する

◾️定期的に換気をする
換気をすると客室内の湿度を下げたり、ホコリや臭いのついた空気を入れ替えたりできます。清掃のたびに換気を行い、カビの発生や臭いの染み付きを防ぎましょう。

◾️空調のフィルターを清掃する
空調の内部は結露により湿度が高く、カビが発生しやすい環境です。また、フィルターのホコリはタバコの臭いが染み付いたりカビの栄養源となります。そのため、清掃スケジュールに空調のフィルター清掃を組み入れて、常に清潔な状態を維持しましょう。

関連記事:ホテルの臭い対策4選!クレームにつながる臭いの原因も紹介

4. 空調の音がうるさい

個別空調では室内機が客室内に設置されるため、空調の音がうるさく感じられる場合があります。

空調の音の原因と対策は以下の通りです。

◾️「ポコポコ」
気密性の高い部屋で空調を使用すると、ドレンホース内の結露がうまく流れなくなり、その中を空気が通って「ポコポコ」と音がします。これは窓を開けて気圧差をなくせば解消されます。また、排水ホースに逆流防止弁を取り付ければ低コストで解決できます。

◾️「カタカタ」
運転中に「カタカタ」という音がする場合、フロントパネルやフィルターがきちんと取り付けられていない場合があります。フロントパネルやフィルターの取り付けを確認して解消しない場合は、故障の可能性もあるためメーカーや修理業者に問い合わせましょう。

◾️「パキッ」「ピシッ」
温度変化によって、室内機の部品が伸び縮みして音が出ているケースがあります。それは故障ではないため、温度が一定になると音は止みます。

ホテルの空調の省エネ方法

ホテルの空調の省エネ方法

空調はホテルの運営コストの大きな割合を占めます。

とくに、夏季・冬季は冷暖房の使用量が増えるため、以下のような省エネ対策は必須です。

  • 適正な温度管理
  • 空調負荷の低減
  • 効率維持のためのメンテナンス
  • 室外機周囲の環境改善

ホテルの収益率を上げるため、空調の省エネ方法を詳しく見ていきましょう。

適正な温度管理

ホテルの空調の省エネは、適正な温度管理により実現できます。温度を緩和すると消費電力量が削減されるためです。

環境省によると、エアコンの温度を1℃緩和させると冷房時は約13%、暖房時は約10%削減されると見込まれています。これは家庭でのケースですが、温度を緩和させると省エネにつながる点では、商業用でも同じです。

ただし、温度を緩和させすぎると、宿泊客からクレームを受ける場合があるため注意しましょう。あくまで快適性と省エネを両立できるような適切な温度管理を行うことが重要です。

参考記事:環境省|家庭のエネルギー事情を知る

効率維持のためのメンテナンス

空調のメンテナンスを怠ると、効率が低下し余計な電気代がかかります。

そのため、次のようなメンテナンスを定期的にしましょう。

  • フィルターの清掃
  • フィンコイルの清掃

◾️フィルターの清掃
フィルターが詰まると、熱交換器を通る風量が減少し、熱交換の効率が低下するため温度の調整に多くのエネルギーがかかります。フィルターのホコリや汚れを掃除機で定期的に吸い取る必要があります。掃除機で取れない汚れは、水洗いをした後、乾燥させてから取り付けましょう。

◾️フィンコイルの清掃
フィンコイルは熱交換器の一種です。フィンコイルが汚れると、熱伝導が悪くなり空調効率の低下を招きます。フィンコイルの清掃は分解や高圧洗浄が必要なため、2〜3年に一度、専門業者に依頼しましょう。

関連記事:空調のフィルターを清掃する効果的な方法は?掃除の頻度や注意点も解説

室外機周囲の環境改善

室外機周囲の環境によっては、空調効率を悪化させている恐れがあります。

複数台の室外機を並べて設置していると、ショートサーキットと呼ばれる現象によって空調に余計な負荷がかかり、電力を無駄に消費します。

◾️ショートサーキットとは
室外機から排出された熱い空気が隣の室外機の吸気口に流れ込む現象。
参考:東京都環境局|ホテルの省エネルギー対策

また、室外機の排気口の周囲に十分なスペースがない場合、自身の排気を吸い込んでしまうでしょう。

対策としては以下の4つの方法があります。

  • 室外機の向きを見直す
  • 周囲の障害物を撤去する
  • 室外機の排気口にダクトを設置する
  • エアシェードを設置して空気の流れをつくる

空調効率を改善して省エネを実現しましょう。

まとめ

ホテルの空調の質は宿泊客の満足度に直結するため、適切な温度管理と定期的なメンテナンスが欠かせません。

そして、顧客満足度を向上させながら経済性を両立させるには、工夫と対策が必要です。

株式会社メンテルでは、ホテルの運営者様向けに以下を実現できるサービスを提供しています。

  • AIとIoTを活用して空調のメンテナンス時期を一元管理化
  • 館内の熱を検知・解析して快適性を維持しながら省エネ化

ホテルの空調管理の見直しを検討している方は、この機会にぜひご相談ください。

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