スマートビルディングは、AIやIoT、BEMSなどの最新技術を駆使して運用・管理されているビルのことです。
その市場規模は世界中で拡大しており、日本の企業も取り入れています。
そこで本記事では、スマートビルディングの導入企業8選や世界の市場規模などを紹介します。
スマートビルディングを取り入れている企業の事例が気になる方は、ぜひご参考ください。
スマートビルディングとは

スマートビルディングとは、最先端のAIやIoTセンサーを活用して、空調や照明、セキュリティなどを一元管理するシステムを備えたビルのことです。
IoTセンサーやAIなどを導入してビル内の設備を一元管理すれば、以下のようなメリットを教授できます。
- エネルギー消費量の最適化
- セキュリティの強化
- 運用コストの削減
- 環境負荷の軽減
たとえば、空調や照明の自動調整機能により、人がいる場所だけ空調を稼働させ、不要な照明をオフにすると、使用電力の無駄を削減できます。
また、多くのIoTセンサーをビル内に配置し、データを収集・分析することで、内部の混雑状況を可視化し、空いている場所へのスムーズな誘導を実現します。
これにより、テナントの混雑状況の均一化を図ることが可能です。一元管理システムの導入によって、企業の競争力向上や、ブランドイメージの向上を狙えるでしょう。
スマートビルディングの市場規模

スマートビルディングの市場規模は、北米を中心に急速に拡大しています。
インドの市場調査会社「FORTUNE BUSINESS INSIGHTS」によると、2023年の世界の市場規模は969億6000万米ドルです。
そのうち25%にあたる390億8000万米ドルが北米でした。2023年から2032年までの市場規模は以下のとおりです。
- 2023年:969億6000万米ドル
- 2024年:1,174億2000万米ドル
- 2032年:5,680億2,000万米ドル
今後、世界の市場規模は2032年までに21.8%もの年間平均成長率を記録すると見込まれています。
また、パリ協定では、温室効果ガス排出量の削減に関する取り決めが示され、各国が法律を整備して対策を講じています。
日本でも自治体がスマートビルの建築に補助金を出す制度を整えています。福岡県北九州市や新潟県新潟市では、スマートビルディング建設の促進補助金を交付する制度を始めています。
参考:北九州市|スマートビル建設促進補助金
参考:新潟市|スマートビル建設促進補助金

スマートビルディングの導入企業5選

スマートビルディンを取り入れた以下の5つの企業の事例を紹介します。
- 株式会社フォレストコーポレーション
- 森トラスト株式会社:神谷町トラストタワー
- 中央日本土地建物株式会社
- 東急不動産株式会社:東京ポートシティ竹芝
- 東急不動産株式会社:渋谷ソラスタ
企業①:株式会社フォレストコーポレーション
株式会社フォレストコーポレーションは、軽井沢に設けた「サードオフィス」をスマートビルディング化して、業務の効率化を図っています。
サードオフィスには、従業員が作業をしながら来客に対応しなければならない課題がありました。
来客時の接客対応に気を取られて、仕事に集中しにくかったのです。その解決策として、同社は建物の入り口付近に人感センサーを設置し、通知で来客を知らせてくれるようになりました。
また、応接室にコーヒーとお茶のボタンを設置し、ボタンを押せば従業員にLINE通知される仕組みも構築しています。
これにより、応接室の来客を気にすることなく従業員は作業に集中でき、仕事の効率化につながりました。
企業②:森トラスト株式会社(神谷町トラストタワー)
森トラスト株式会社が運営する神谷町トラストタワーでは、AI警備システムの実証実験が行われました。
同社はビル内に30台のAIカメラを設置し、警備を行いました。その目的は、ビルの警備の質を向上させることです。
AIカメラは常にビル内を監視しており、異常行動や不審行動が見られたときには、その映像が瞬時に通知されます。
また、AIカメラによる監視により、警備員は常にモニタリングする必要がなくなりました。人員配置が最適化され、運用コストの削減につながったのです。
企業③:中央日本土地建物株式会社
中央日本土地建物株式会社は、本社が入るオフィスビル(2025年に竣工予定)が、スマートビルになることを発表しています。
その内容はビルの設備とシステムをリアルタイムで連動して、データの収集や解析をするというものです。
ビル内には、IoTセンサーとAIによる空調と照明の自動制御を実装します。また、外気の状況から自然換気のタイミングを判断し、通知をしてくれます
さらに南北方向の窓を二重ガラス構造にして、空調への負荷を最低限にするようです。
ほかにも西日を遮るフィンや自動換気装置、太陽光を最大限活用できるブラインドなどを設置して空調効率の最大化を図っています。
企業④:東急不動産株式会社(東京ポートシティ竹芝)
ソフトバンク株式会社が本社を置く東京ポートシティ竹芝は、さまざまなデータを活用して効率的なビル運営を実現しました。
イベント会場があるフロアでは、通路の何もないところにスマートフォンをかざすだけで、画面上にARナビゲーションが表示されます。
AR(拡張現実)が館内を案内してくれます。これは全館5Gに対応したことで実現しました。飲食店に設置してあるタブレットでは、外の天気やトイレの空き状況も確認できる仕組みになっています。
利用者はトイレに行ったのに空いてないという事態を防げます。また、店舗では設置してあるIoTセンサーを用いて、来客数や店舗ごとのユーザーの傾向を分析できます。
企業⑤:東急不動産株式会社(渋谷ソラスタ)
東急不動産株式会社が開発推進したオフィスビルが、渋谷ソラスタです。
たとえば、トイレの空き状況やビル内での自分の位置情報、共用部の混雑状況などがスマートフォンで確認できるようになっています。
また、空調の自動運転とスマートフォンでの操作によって、職員の効率的な業務を可能にしました。
IoTセンサーによるデータ収集とAIによって、働く人に優しいスマートビルディングとして誕生しました。
海外のスマートビルディングの導入企業3選

スマートビルディングを導入した海外の事例を3つご紹介します。
- UBM:240 Blackfriars
- Intel:SRR3
- Deloitte:The Edge
企業①:UBM(240 Blackfriars)
イベント事業をBtoB向けに提供しているUBMは、イギリス本社をスマートビルディング化しています。
この本社ビルは職員が働きやすい環境を整えるというUBMの理念に基づいています。
たとえば、職員はワークスペースに入るとき、壁に設置されたタッチパネルにカードをかざして、自分の席を自由に選択できます。
ミーティングの予定が入れば、クラウド上で会議室の予約が取れるように設計されています。
また、太陽の傾きを考慮して自動でブラインドが動くシステムもあります。空調の温度も時間帯によって自動で調整され、快適な空間を維持してくれます。
その他にもスマートボードが設置された会議室もあり、先進的なスマートビルディングのひとつといえるでしょう。
企業②:Intel(SRR3)
SRR3は、Intelがインドのバンガロールに建設したスマートビルディングです。
SRR3のビル内には、約9000ものセンサーが設置されていて、室温や会議室の占有率などのデータをリアルタイムで収集し、利用者に共有します。
また、空調の調整や換気システムなどをすべて自動運転にして、職員の労働生産性の向上をサポートします。
SRR3の最大の特徴はオフィスの床です。オフィスの床には、特殊なタイルが敷き詰められており、歩くことでエネルギーを発生させます。
そのエネルギーは、ビル運営の電力に活用されています。同社は特殊な床と太陽光発電によって、ビル全体の40%もの電力をカバーし、CO2の排出量を37%削減しました。
企業③:Deloitte(The Edge)
世界最大の会計事務所デロイトは、オランダのアムステルダムにあるThe Edgeに入居しています。
The Edgeは最先端のスマートビルディングです。
環境問題への対策として、ソーラーパネルを稼働させているほか、雨水をトイレの排水や植物への散水に活用しています。
また、空調設備も自動化されており、各職員の好みの温度に設定できるようにAIが学習して微調整を行います。
これらのデータ収集と設備への指示などはすべてIoTセンサーとAIが行なっています。
まとめ

この記事では、スマートビルディングの概念や市場規模、実際に導入した企業の事例などを紹介しました。
スマートビルディングは、エネルギー効率の向上や運用コストの削減、環境負荷の軽減を実現します。
これは持続可能な社会を推進する非常に重要なインフラのひとつといえるでしょう。
株式会社メンテルでは、スマートビルの実現をサポートするアプリケーションやソフトウェアを受諾で開発・提供しています。
スマートビルディングを取り入れた企業の事例を見て「自社でも積極的に取り組みたいな」と考えた方は、ぜひお気軽にホームページを覗いてみてください。