太陽光発電と蓄電池を組み合わせたエネルギー運用は、電気代の削減だけでなく、災害対策としても有効な手段です。
しかし「自社に向いているのか」「導入する際に何に注意すべきか」と、具体的なイメージが湧かない担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、太陽光発電と蓄電池を連携させるメリットや注意点、導入を成功させるポイントを解説します。
自社のエネルギー戦略を最適化する参考にしてください。
太陽光発電と蓄電池の仕組み

太陽光発電と蓄電池を連携すると、太陽光でつくった電気を、必要なタイミングで使えるようになります。
ここでは太陽光発電と蓄電池の役割を整理し、連携により効果が高まる理由を確認していきます。
太陽光発電の役割
太陽光発電は、太陽の光を利用して電気をつくる設備です。屋根や敷地に設置した太陽光パネルに光が当たると発電されます。
燃料を使わずに電気をつくれるため、CO2をほとんど排出せず、環境への負荷が少ない点が特徴です。
一方で、発電量は天候や時間帯に左右され、常に安定しているわけではありません。晴れた昼間は多く発電できますが、雨の日や夜間は発電量が減ります。
また、工場やビルの稼働状況によっては、発電した電気をその場で使いきれず、余ってしまうこともあります。
蓄電池の役割
蓄電池は、電気を一時的に貯めて、必要なときに使えるようにする設備です。電力会社から購入した電気を貯めることで、以下のような場面で活用できます。
- 電力使用量が増える時間帯
- 電力単価が高くなりやすい時間帯
- 停電などで電力供給が止まった場合
電力の使い方を制御できると、電気代の抑制や事業継続のリスク対策につながります。蓄電池を導入する際は、容量や出力が自社の電力使用量や目的に合っているかを確認することが重要です。
蓄電池の種類は「蓄電池4種類を徹底比較!用途別の使い分けと選ぶときのポイント」をご覧ください。
太陽光発電と蓄電池を連携すると効果が高まる理由
太陽光発電と蓄電池を連携させると、電気をつくる役割と、貯めて使う役割が組み合わさり、電気の使い方が柔軟になります。
太陽光発電だけの場合、発電した電気はその場で使う必要があり、使いきれなかった分は余剰電力として扱われます。
一方、蓄電池と連携すれば、日中に発電した電気を一度貯めて、夕方以降や電力使用量が増える時間帯に使うことが可能です。
電気の使い方を計画的に管理すると、無駄の少ないエネルギー運用が行えます。
太陽光発電と蓄電池を連携させる3つのメリット

太陽光発電と蓄電池を連携させる主なメリットは次の3つです。
- 電気代削減につながりやすい
- 停電・災害時の非常用電源になる
- 企業評価の向上につながる
詳しく見ていきましょう。
1. 電気代削減につながりやすい
太陽光発電と蓄電池を連携させると、電気代を下げやすくなります。発電した電気をその場で使いきれなくても、蓄電池に貯めて後から使えるため、電力会社から購入する電力量を減らせるためです。
たとえば、昼間に太陽光発電でつくった電気を蓄電池に貯めておけば、夜間や設備の稼働が増える時間帯に活用できます。これにより購入電力量の削減に加え、デマンド値を抑えて基本料金を下げるピークカットも期待できます。
また、市場連動型プランの普及により電力価格が変動しやすいなか、自社で使える電力を確保できれば、外部環境の影響を受けにくい運用が可能です。
電力価格が変動する仕組みは「電力市場の9つの種類とは?市場価格が変動する仕組みもわかりやすく解説」で解説しています。
2. 停電・災害時の非常用電源になる
太陽光発電と蓄電池を連携させると、停電や災害時の非常用電源として電力を確保できます。
太陽光発電のみでは、夜間や悪天候時に電力を確保できませんが、蓄電池を組み合わせると、この弱点を補えます。
たとえば、昼間に発電した電気を蓄電池に貯めておけば、夜間の停電時でもセキュリティ設備や照明、通信機器など、最低限必要な設備を稼働させ続けることが可能です。
3. 企業評価の向上につながる
太陽光発電と蓄電池の活用は、CO2削減への取り組みを具体的に示せるため、企業評価の向上につながります。
近年は、サプライチェーン全体での環境配慮が求められています。太陽光発電の導入実績は、投資家や金融機関への説明材料として活用可能です。
ESGを重視する投資家や環境意識の高い顧客から、前向きな評価を得やすくなります。
太陽光発電と蓄電池を連携させるときの注意点

太陽光発電と蓄電池を連携させるときに、とくに押さえておきたい注意点は、以下の3つです。
- 初期費用の負担が大きくなりやすい
- 十分な設置スペースが必要になる
- 使い方を誤ると効果が出にくい
順番に解説していきます。
1. 初期費用の負担が大きくなりやすい
太陽光発電システムに蓄電池を追加すると、太陽光パネルのみを設置する場合に比べて、初期費用の負担が大きくなります。
蓄電池本体の価格に加え、パワーコンディショナーの変更や設置工事費などが発生し、システム全体のコストが増えるためです。
導入コストは設備の規模や用途、バックアップしたい負荷の範囲によって異なります。将来的な電気代削の減額と導入費用を比較しながら、慎重に検討することが大切です。
2. 十分な設置スペースが必要になる
太陽光発電と蓄電池を導入する際は、設備を設置する十分なスペースを確保できるか確認する必要があります。
太陽光パネルは屋根上に設置できるケースが多いですが、蓄電池は地上や専用の電気室など、重量に耐えられる平坦な場所が求められます。
産業用の大容量蓄電池はサイズが大きいため、搬入経路の確認も重要です。蓄電池の設置には消防法による規制や塩害地域を避けるなど、周囲環境に関する制限もあります。
設計段階で、設置スペースや設置条件をしっかり確認しておきましょう。
3. 使い方を誤ると効果が出にくい
太陽光発電と蓄電池の運用方法を誤ると、期待した効果を得にくくなります。
たとえば、発電量が少ないにも関わらず大容量の蓄電池を導入すると、十分に電気を貯められず、設備を活かしきれません。
また、ピークカットのタイミングが適切でないと、電気代削減の効果も限定的です。蓄電池は設定や使い方によって効果が大きく変わるため、自社の電力使用状況に合わせた運用を続けることが重要です。
太陽光発電と蓄電池を連携する判断ポイント

太陽光発電と蓄電池の連携が向いているケースと、慎重に検討すべきケースを紹介します。自社がどちらに当てはまるのかを確認しながら、導入判断の参考にしてください。
連携が向いているケース
太陽光発電と蓄電池の連携が向いているのは、次のようなケースです。
- 昼間の電力使用量が多い施設
- 短時間の停電でも業務に支障が出る現場
- 中長期でエネルギーコストを見直したい企業
太陽光で昼間に発電した電気をそのまま使い、余った分を夕方以降のピーク時間帯に回せるため、電気代を効率的に抑えられます。
また、精密機械や冷凍倉庫など、稼働を止められない現場では、蓄電池のバックアップ電源が事業継続の支えとなります。
さらに、将来的な電気料金の値上げを見据え、中長期でエネルギーコストを安定させたい企業にも適した選択肢といえるでしょう。
慎重に検討すべきケース
太陽光発電と蓄電池の連携を慎重に検討すべきケースは次のとおりです。
- 年間の使用電力量が少ない施設
- 稼働日や稼働時間が限定的な施設
- 短期間での費用回収を前提としている企業
電力使用量が少なく、土日祝日に稼働しない施設では、蓄電池の稼働率が上がらず、十分な電気代の削減効果を得られない可能性があります。
また、太陽光発電と蓄電池の連携は、中長期で効果を発揮する仕組みなので、短期で回収するとなると、想定した効果を得られない恐れがあります。
導入を検討する際は初期費用だけでなく、減価償却やメンテナンス費用を含めた長期的な視点で判断しましょう。
太陽光発電と蓄電池の導入前に確認すべき3つのポイント

太陽光発電と蓄電池の導入を成功させるには、以下の3つのポイントを押さえましょう。
- 電力使用状況を把握できているか
- ニーズに合わせた蓄電池を選択できているか
- 費用と効果のバランスはよいか
一つずつ見ていきます。
1. 電力使用状況を把握できているか
導入前に確認すべきことが、自社の電力使用状況を正しく把握できるかどうかです。
電力の使い方を把握しないまま設備を導入すると、想定していた効果が出ないことがあります。月々の電気料金だけを見るのではなく、どの時間帯にどれだけ電力を使っているのかを確認しましょう。
とくに時間帯ごとの使用量やピークが発生するタイミングがわかると、太陽光発電や蓄電池の活用方法が見えてきます。電力データをもとに現状を整理することが重要です。
2. ニーズに合わせた蓄電池を選択できているか
自社の目的に対して、適切な容量や性能を持つ蓄電池を選べているかを確認しましょう。
容量が大きすぎる場合、太陽光発電だけでは蓄電池を十分に充電できず、設備を活かしきれないままコストだけが増える可能性があります。
一方で、価格を重視して容量を小さくすると、停電時に使える電力量が限られ、BCP対策として十分に機能しないことも考えられます。
電気代削減を重視するのか、非常時のバックアップを優先するのかなど、導入目的を明確にし、それに合った蓄電池の選定が重要です。
3. 費用と効果のバランスはよいか
太陽光発電と蓄電池の導入では、費用と効果のバランスを冷静に見極める必要があります。
目安として、産業用太陽光発電(10kW以上)の導入費用は平均で約22.6万円/kWとされており、設備規模が大きくなるほど単価は下がります。
一方、産業用蓄電池の導入費用の目安は約10.6万円/kWhです。ただし、必要な容量はバックアップしたい設備や運用目的によって大きく異なります。
導入費用が高いか安いかではなく、自社の規模や用途に対して適切な設備構成になっているかを確認しましょう。
参照:経済産業省|令和7年度以降の調達価格等に関する意見
参照:三菱総合研究所|業務・産業用蓄電システムのユースケース整理と収益性評価
まとめ
太陽光発電と蓄電池の連携は、電気代削減や災害対策、脱炭素経営を同時に進められる有効な手段です。
一方で、導入効果は設備規模や電力の使い方によって大きく左右されるため、事前の検討が欠かせません。重要なのは、発電した電気を「どう運用するか」です。
この記事を参考に、まずは自社の電力の使い方を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。

