太陽光発電には、余剰電力が電力会社側へ流れてしまう「逆潮流」という現象があります。
この仕組みを理解しないまま導入すると、設備停止や思わぬトラブルにつながる恐れがあるため注意が必要です。
トラブルなく太陽光発電の電力を活かすには、逆潮流の発生条件や制御方法を理解することが大切です。
そこで本記事では、逆潮流の仕組みと対策方法を4つ解説します。逆潮流のリスクを抑え、安定した運用ができるようになりますので、ぜひ最後までお読みください。
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太陽光発電の逆潮流とは


太陽光発電の逆潮流とは、発電した電気を施設内で使いきれず、電力会社の送電網へ流れる状態を指します。
自家消費型太陽光発電は、発電した電気を施設内で使うことが前提です。
しかし、休日で工場が停止している場合や電力使用量が少ない時間帯には、消費電力と発電量のバランスが崩れて余剰電力が発生し、逆潮流が発生しやすくなります。
売電契約を行っている場合、逆潮流自体は問題ありません。ただ自家消費型で逆潮流を想定していない設備だと、出力制御や発電停止につながることがあります。
逆潮流と順潮流の違い
逆潮流と順潮流の違いは、電気が流れる方向です。
通常、工場や事業所では電力会社から施設へ電気が供給されており、この状態を「順潮流」と呼びます。発電した電気が余って施設側から電力会社へ流れる状態が「逆潮流」です。
| 項目 | 電気の流れ | 発生する場面 |
|---|---|---|
| 逆潮流 | 施設→電力会社 | 余剰電力が発生したとき |
| 順潮流 | 電力会社→施設 | 通常の電力供給時 |
売電契約を結んでいる場合は、逆潮流は正常な運転状態です。しかし、自家消費型で売電契約をしていない場合は、大規模停電につながるため注意が必要です。
逆潮流の対策が必要とされる3つの理由


逆潮流の対策が必要とされる理由は次の3つです。
- 保護装置が作動して設備が停止する可能性がある
- 電力会社のルールで制限される
- 発電した電気を無駄にしてしまう
詳しく見ていきましょう。
1. 保護装置が作動して設備が停止する可能性がある
逆潮流が発生すると、保護装置が作動し、太陽光発電が停止する可能性があります。
電力会社の送電網に想定以上の電気が逆流すると、電力の安定供給や品質に影響を与える恐れがあるためです。
そして保護装置であるRPR(逆電力継電器)が逆潮流を検知すると、ブレーカーが遮断され、パワーコンディショナーも停止します。
その結果、24時間体制で稼働が必要な設備が停まり、納期遅れにつながります。
2. 電力会社のルールで制限される
自家消費型太陽光発電を運用する際は、電力会社との契約や連係条件に基づき、逆潮流を防ぐ対策の導入が求められます。
電力会社は送電網の電圧や周波数を安定させる責任を担っているためです。想定していない電力が送電網に流れ込むと、電圧変動や電力品質に影響が出る恐れがあります。
導入時や運用変更の際には、電力会社のルールに沿った設備構成になっているかを確認することが重要です。
3. 発電した電気を無駄にしてしまう
逆潮流が発生すると、RPRの作動やパワーコンディショナーの停止が繰り返され、本来発電できたはずの電力が十分に活用できなくなります。
発電量に対して消費電力が少ない時間帯が多い場合、出力制御が頻発しやすくなります。
逆潮流の対策が不十分だと、太陽光発電のメリットを十分に引き出せないため注意が必要です。
産業用の太陽光発電のメリットは「産業用の太陽光発電のメリット5選!企業が導入判断をするポイント」で紹介していますので、効果を最大限に発揮させるために、ぜひご覧ください。
逆潮流あり・逆潮流なしの違い
逆潮流のありとなしの違いは、発電した余剰電力を電力会社へ流せるかどうかです。
売買契約を結んでいる場合、余剰電力を電力会社へ送ることが可能です。一方、自家消費だけならば、電力会社に電気を流さないため、逆潮流なしの前提で設計されます。
| 項目 | 仕組み | 目的 |
|---|---|---|
| 逆潮流あり | 余剰電力を電力会社へ送電できる | 売電収益の確保 |
| 逆潮流なし | 発電した電気を施設内で消費する前提となる | 電気代削減・安定運用 (自家消費型) |
売電による収益を重視するのか、電気代の削減や安定運用を優先するのかによって、適した設備構成や制御方法は異なります。
太陽光発電の逆潮流の対策4選


逆潮流を防ぎながら安定した運用を継続するには、以下の4つの対策が有効です。
- パワーコンディショナーで発電出力を制御する
- 負荷追従制御で発電量を最適化する
- RPR(逆電力継電器)を活用する
- 蓄電池と連携する
順番に解説していきます。
1. パワーコンディショナーで発電出力を制御する
逆潮流を防ぐ方法のひとつは、パワーコンディショナーで発電量を制御することです。
パワーコンディショナーのなかには、逆潮流を検知すると出力を抑える機能が備わっているものがあります。
施設内の電気使用量が減ったときや、休日で工場が停止している場合でも、発電量を下げることで余剰電気が電力会社へ流れるのを防ぎます。
パワーコンディショナーを選定する際は、逆潮流制御機能の有無を確認しましょう。
2. 負荷追従制御で発電量を最適化する
逆潮流を抑えながら太陽光発電を有効活用するには、負荷追従制御の活用が有効です。
負荷追従制御とは、施設で使っている電気の量を制御システムが判断し、その情報をもとにパワーコンディショナーが出力を自動調整する仕組みです。
発電を止めるのではなく、使う分だけ発電する状態を保てるため、逆潮流を抑えつつ自家消費率を高められます。
3. RPR(逆電力継電器)を活用する
RPRを活用すると、逆潮流を検知してパワーコンディショナーを停止することが可能です。その結果、太陽光発電が停止し、逆潮流の継続を防げます。
ただし、RPRは逆潮流を防ぐ装置ではなく、逆潮流が発生した際に設備を保護する装置です。
そのため、RPRと出力制御と組み合わせて、できるだけ作動させない設計が重要です。
4. 蓄電池と連携する
蓄電池と太陽光発電を連携すると、余剰電力が電力会社へ流れるのを防げます。余剰電力を蓄電池に充電できるためです。
貯めた電気は夜間や電力使用量が多い時間帯に使えるため、電気が無駄になりません。蓄電池は災害時の非常用電源としても活用でき、BCP(事業継続計画)の強化にもつながります。
初期費用はかかりますが、電気料金の削減や安定運用の面で長期的なメリットが期待できます。
太陽光発電と蓄電池を連携するメリットは、以下の記事で詳しく解説しているため、あわせてご覧ください。


太陽光発電の逆潮流対策でよくある質問


太陽光発電の逆潮流対策でよくある質問に回答します。
- RPR(逆電力継電器)の設置は義務ですか?
- ソーラーパネルに逆流防止ダイオードは必要ですか?
ひとつずつ見ていきましょう。
PRP(逆電力継電器)の設置は義務ですか?
設備の規模や電力会社との契約条件によって異なりますが、自家消費型太陽光発電では、逆潮流を防ぐRPRの設置を求められるケースが一般的です。必要かどうかは、事前に電力会社へ確認しましょう。
ソーラーパネルに逆流防止ダイオードは必要ですか?
逆潮流対策としては必要ありません。逆流防止ダイオードは、ソーラーパネル内部の逆流を防ぐ部品であり、送電網への逆潮流対策とは目的が異なります。システム全体の逆潮流を防ぐには、RPRや制御装置が必要です。
まとめ
太陽光発電の逆潮流対策をすると、安定した設備運用と電気料金の削減を両立できます。
逆潮流は設備停止や契約違反のリスクにつながるため、負荷追従制御や蓄電池の活用などを組み合わせた設計が求められます。
さらに事前の電力データ分析に基づくシミュレーションもしておけば、最適な運用ができるようになるでしょう。

