電力スマートメーターの仕組みとは?消費電力の分析により節電ができる

電力スマートメーターの仕組みとは?消費電力の分析により節電ができる

「電力スマートメーターってなに?」
「ビルの電気代を節電したい」

このような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

電力スマートメーターを導入すれば、ビルの消費電力を見える化し、データに基づいた抜本的な改善が可能です。

そこで本記事では、電力スマートメーターの仕組みや機能、導入メリットを解説します。

電力スマートメーターを活かしたコスト削減策と、管理業務を最適化するヒントが見つかりますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

電力スマートメーターの仕組みとは

電力スマートメーター
電力スマートメーター

電力スマートメーターとは、30分ごとに電力使用量を計測し、電力会社にデータを自動で送信できる設備です。

国の「エネルギー基本計画(2014年)」により全国で導入が推進され、現在は一般家庭やオフィスビルなどで使われています。

同設備が取得するデータは、無線通信によって電力会社へ送信され、ビル全体の消費パターンを分析するのに役立てられます。

時間帯ごとの電力使用量を把握できるため、無駄な消費の削減が可能です。

従来のアナログ電力計との違い

電力スマートメーターは、従来のアナログ電力計に比べて以下のような機能が異なります。

スクロールできます
項目電力スマートメーターアナログ電力計
通信機能あり(電力会社へ自動送信)なし
計測期間30分ごとに自動計測月1回(検針時のみ)
検針方法自動検針(遠隔)検針員による目視
ブレーカー機能遠隔操作による遮断・復旧が可能契約容量超過で物理的に遮断(復旧は手動)
電力スマートメーターとアナログ電力計の違い

電力スマートメーターを導入すると、検針員の目視での計測が不要となり、データをほぼリアルタイムで自動に取得できます。

また、契約容量を超えた際に、電力の遮断と復旧を遠隔で行うことが可能です。さらに、使用状況に応じたアラート発信やピークカット制御にも対応しています。

電力スマートメーターの4つの機能

電力スマートメーターは、ビル管理やエネルギー効率化に役立つ機能を複数備えています。

主な機能は以下の4つです。

  • 電力会社への通信機能
  • 電力使用量を30分ごとに測定できる機能
  • アンペアブレーカー機能
  • HEMSやBEMSとの連携機能

詳しく見ていきましょう。

1. 電力会社への通信機能

電力スマートメーターには、電力使用量のデータを無線通信で電力会社へ自動送信する機能が備わっています。

通信機能により、従来のように検針員が現地を訪れてメーターを確認する必要がなくなり、遠隔での検針作業が可能となりました。

電力会社へリアルタイムでデータが送られるため、停電や復旧などの情報を即座に共有でき、緊急時の対応を迅速にできます。

ビルや施設の管理者にとっても、検針員の立ち入り調整が不要になり、管理の手間を軽減できます。

2. 電力使用量を30分ごとに測定できる機能

電力スマートメーターは、電力使用量を30分ごとに自動計測し、データを蓄積します。

蓄積されたデータは電力会社へ自動送信され、利用者は電力会社のWebサービスやアプリで、使用状況を確認可能です。

電力スマートメーターとデータ送信の関係
電力スマートメーターとデータ送信の関係

これにより従来の月1回の検針では把握が難しかった、時間帯ごとの電力使用量やピーク時の消費量が正確にわかります。

また、データ分析により異常な電力使用パターンを発見できると、設備の故障や漏電などのトラブルを早期に発見できるようになるでしょう。

3. アンペアブレーカー機能

アンペアブレーカーとは、契約容量を超えた際に電力供給を自動で遮断・復旧する装置です。

従来のアナログ式ブレーカーでは、物理的な遮断と手動での復旧が必要でした。

一方、電力スマートメーターのアンペアブレーカーは、自動で電力を遮断・復旧できるため、設備破損や火災リスクを抑えつつ、復旧作業の手間を削減できます。

また、電力会社が遠隔操作で契約容量を変更できるため、ビルの用途や季節変動に合わせた柔軟な契約管理が可能です。

電気料金プランの最適化や運用コストの見直しがスムーズに行えるようになります。

4. HEMSやBEMSとの連携機能

HEMS(Home Energy Management System)やBEMS(Building Energy Management System)などのエネルギー管理システムと連携できる機能が、電力スマートメーターにあります。

計測したデータをHEMSやBEMSに自動送信し、設備や時間帯ごとの電力使用量をリアルタイムで「見える化」できます。

HEMSやBEMSに関しては「エネルギーマネジメントシステム(EMS)の種類とは?メリット・デメリットも紹介」で詳しく述べていますので、ぜひご覧ください。

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太陽光発電や蓄電池のような分散型電源と組み合わせると、発電量や貯蔵量を考慮した効率的なエネルギーの制御が可能です。

電力スマートメーターの導入メリット3選

電力スマートメーターを導入する主なメリットは以下の3つです。

  • 管理業務の手間が減る
  • 消費電力の分析により節電につなげられる
  • エリアごとの電力使用量を正確に測定し費用を請求できる

導入可否の判断材料としてご覧ください。

1. 管理業務の手間が減る

電力スマートメーターを活用すると、電力使用量を自動送信するため、立ち入り制限のある場所での検針作業が不要になります。

これまでの現地での作業がすべて遠隔になるため、検針にかかる時間や人員を削減できます。

さらに、電力使用状況をリアルタイムで遠隔で監視できるため、トラブル発生時にも迅速な状況把握と的確な初動対応が可能です。

複数のビルを保有している場合でも、データの一元管理により、建物ごとの電力使用状況を比較・分析します。その結果、管理作業を効率化できます。

2. 消費電力の分析により節電につなげられる

日々の消費電力を把握・分析して、無駄のない運用を可能とするのが、電力スマートメーターのメリットです。

HEMSやBEMSと連携させると、時間帯・設備ごとの無駄な電力使用を特定できます。

さらに、デマンドコントロールシステムと組み合わせると、ピーク時の電力を抑えられ、契約電力の見直しや電気代を削減できるでしょう。

ピークカットにより電気代を削減する仕組みは「空調のデマンド制御とは?電気代や人件費削減につながる仕組みを解説」でより詳しく解説しております。

3. エリアごとの電力使用量を正確に測定し費用を請求できる

電力スマートメーターによりフロアやテナント単位での電力使用量を正確に測定でき、利用状況に基づいた請求が行えるようになります。

従来は共用部や複数テナントの電力使用をまとめて管理するケースが多く、不公平感が生じやすい点が課題でした。

しかし、電力スマートメーターを活用すれば、共用部と各テナントの使用電力量を明確に区分でき、公平で透明性の高いコスト配分が実現します。

その結果、電力料金に関するテナントの納得感や信頼感が高まり、ビル全体の運営品質の向上につながります。

電力スマートメーターのデメリット

電力スマートメーターのデメリットは主に次の2つです。

  • 電磁波の影響
  • プライバシーの問題

電力スマートメーターは無線通信を利用するため微弱な電磁波が発生します。人体への影響はないとされていますが、電磁波過敏症のような方は健康面で不安を感じるケースもあるようです。

また、30分ごとに詳細な電力使用データが記録・送信されるため、生活パターンが外部に知られてしまうプライバシー上の懸念も存在します。

電力会社では厳重な情報管理体制が敷かれていますが、利用者側もデータの扱いについて正しく理解することが大切です。

電力スマートメーターを導入する流れ

利用者は特別な設置手続きを行うことなく、電力スマートメーターを導入できます。電力会社が定めた切り替えのタイミングに基づき、順次設置が進められています。

主な切り替えのタイミングは、次の4つです。

  • 電力会社を切り替えたとき
  • メーターの検定有効期間が満了したとき
  • HEMSのような情報発信サービスを申し込んだとき
  • 新築したとき

設置の流れは、まず電力会社へ電気料金プランを申し込み、その後に工事日程の調整を経て、取り替え工事が実施されます。

既存メーターからの交換であれば、原則設置費用は不要です。

電力スマートメーターに関するよくある質問

電力スマートメーターに関するよくある質問にお答えします。

  • スマートメーターを拒否できる?
  • スマートメーターの設置費用はいくらですか?

一つずつ見ていきましょう。

スマートメーターを拒否できる?

一部の電力会社ではオプトアウト制度により拒否が可能です。健康やプライバシーに不安がある利用者への配慮として設けられています。

スマートメーターの設置費用はいくらですか?

基本的に利用者の負担はありません。メーターは電力会社の資産として扱われ、交換費用は託送料金に含まれています。

まとめ|電力スマートメーターで消費電力を分析し節電しよう

電力スマートメーターは、電力使用量を30分単位で可視化し、ビルの無駄な消費を減らすための重要なツールです。

データを活用すると、節電対策の最適化やコスト削減、テナントごとの公平な管理が実現します。

株式会社メンテルでは、スマートメーターで得たデータをもとに、課題分析から運用改善、効果検証までを一気通貫でサポートします。

エネルギー効率を最大化し、持続可能なビル経営を支援しますので、データ活用による省エネ化をご検討の方は、ぜひご相談ください。

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