蓄電池のメリット・デメリット10個紹介!企業が導入すべき理由とは?

蓄電池のメリット・デメリット

近年、エネルギー価格の上昇や自然災害の増加を背景に、BCP(事業継続計画)対策や電気代削減の手段として「蓄電池」に注目が集まっています。

蓄電池とは、あらかじめ電力を貯めておき、必要なタイミングで使える設備のことです。コスト削減だけでなく、非常時の電源確保にも役立ちます。

一方で「デメリットやリスクはないのか」「導入コストに見合う効果があるのか」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、企業が蓄電池を導入するメリット・デメリットや、失敗しないためのポイントをわかりやすく解説します。自社にとって蓄電池が本当に必要かどうかを判断する材料としてお役立てください。

目次

蓄電池を導入する5つのメリット

蓄電池を導入する5つのメリット

蓄電池を導入する主なメリットは以下の5つです。

  1. 電気代を削減できる
  2. 電力価格の変動リスクに対応できる
  3. 停電時も電力を確保できる
  4. 太陽光発電で作った電気を自社で使える
  5. 脱炭素経営を進められる

蓄電池を導入するメリットがわかると、自社にとって有益かどうかの判断ができるようになりますので、ぜひご覧ください。

1. 電気代を削減できる

蓄電池を適切に運用すれば、毎月の電気料金を抑えることが可能です。

電気料金は時間帯や需給状況によって単価が変動し、昼間は高く、夜間は安く設定されていることが一般的です。

蓄電池を活用すれば、電気料金が安い夜間に電力を充電し、単価が高くなる昼間は蓄電池に貯めた電気を使用できます。

昼間に購入する電力量を減らせるため、電気料金の削減につながります。

さらに、企業全体の電力使用量がもっとも大きくなる時間帯に蓄電池を活用すると、最大デマンド値(ピーク電力)の抑制も可能です。

法人契約の電気料金は、過去1年間の最大デマンド値をもとに基本料金が決まるケースが多く、ピークカットを行うと基本料金の引き下げにつながります。

2. 電力価格の変動リスクに対応できる

蓄電池を活用すれば、電力価格が高騰した際の経営リスクを抑え、安定化につなげられます。

近年は燃料価格の変動や需給バランスの影響を受け、電力市場価格の変動が電気料金に反映されやすくなり、電力調達コストが予期せず跳ね上がるリスクが高まっています。

こうした状況下でも、蓄電池があれば、電力価格が高い時間帯の電力購入を抑え、貯めた電気を使用する柔軟な運用が可能です。

夏季や冬季など、冷暖房需要が高まり需給がひっ迫しやすい時期でも、外部から購入する電力量を必要最小限にコントロールできます。

電力価格の仕組みについて知りたい方は「電力市場の9つの種類とは?市場価格が変動する仕組みもわかりやすく解説」をご覧ください。

3. 停電時も電力を確保できる

災害や送電系統のトラブルによって停電が発生した場合でも、蓄電池があれば非常用電源として電力を確保できます。

企業活動において電力供給が途絶えると、生産ラインやサーバーの停止、データ消失、顧客対応の遅れなど、事業継続に大きな影響を及ぼします。

とくに長時間の停電が発生すると、金銭的損失だけでなく、企業の信用低下につながるでしょう。蓄電池があれば、停電時でも照明やパソコン、サーバーなどの重要機器を稼働させることが可能です。

非常時でも事業を早期に復旧・継続できる体制を整えておくことは、取引先や顧客からの信頼を守るうえでも強みとなります。

4. 太陽光発電で作った電気を自社で使える

太陽光発電設備と蓄電池を併用すると、発電した電力を無駄なく自社で消費できます。

太陽光発電は日中にしか発電できません。しかし、余剰電力を蓄電池に貯めておけば、夜間や早朝、雨天時でも再生可能エネルギー由来の電力を使用できます。

電力購入量を減らすことは、電気代の削減にも直結します。太陽光発電と蓄電池の組み合わせは、外部電力への依存度を下げる有効な手段です。

5. 脱炭素経営を進められる

太陽光発電で作った電気を蓄電池に貯めて活用すると、化石燃料由来の電力使用量を減らせるため、温室効果ガスの排出を抑制できます。

近年は、SDGs(持続可能な開発目標)ESG投資(環境・社会・ガバナンス)への関心が高まり、企業にはサプライチェーン全体で脱炭素化が求められています。

蓄電池を活用した取り組みは、環境配慮型企業としての姿勢を示すことになり、投資家や取引先からの評価向上にもつながるでしょう。

蓄電池を導入する5つのデメリット

蓄電池の導入には費用や設置環境などの課題も存在します。主なデメリットは以下の5つです。

  • 初期費用が高い
  • 定期的にメンテナンスが必要
  • 蓄電池には寿命がある
  • 設置には十分なスペースが求められる
  • 運用方法を間違えると費用対効果が低くなる

蓄電池にデメリットを許容するほどの価値があるのか見極められますので、導入してから失敗しないために、ぜひご覧ください。

1. 初期費用が高い

蓄電池の導入には、機器本体や設置工事にかかる高額な初期投資が必要です。

また、蓄電池を稼働させるには、バッテリー本体だけでなく、電力を変換するパワーコンディショナーや制御機器、配線工事などもいります。

とくに産業用蓄電池は家庭用に比べて容量が大きく、数千万円規模の費用がかかることもあります。

蓄電池に電気代の削減効果はあるものの、投資資金の回収は数年単位の運用が前提です。補助金の活用や費用対効果の試算を行い、無理のない資金計画を立てることが重要です。

2. 定期的にメンテナンスが必要

蓄電池を安全に運用するには、定期的な点検とメンテナンスが必要です。

蓄電池は、長期間の使用によりバッテリーセルの劣化や冷却装置の不具合、接続部の緩みなどが発生する可能性があります。

不具合を放置すると、性能の低下や故障だけでなく、まれに発火事故を招く恐れがあります。

メーカーや施工会社との保守契約を結び、専門技術者による点検を受けるのが一般的です。

たとえば、50kWhクラスの産業用蓄電池を設置した場合、メンテナンスや保守にかかる費用は年間で100〜200万円以上になるケースもあります。

メンテナンス費用もあらかじめ予算に組み込んでおきましょう。

3. 蓄電池には寿命がある

蓄電池は、充放電を繰り返すことで徐々に蓄電容量が減少していく消耗品です。

寿命の目安は「サイクル数(充電と放電を1セットとした回数)」で示され、一般的なリチウムイオン電池の場合、使用期間にして10〜15年程度が交換の目安です。

また、高温環境下での使用や、過度な充放電を繰り返す運用を行うと、メーカーが想定する期間よりも早く性能が低下する可能性があります。

導入時には保証期間の内容を確認するとともに、将来的な交換費用も見越した長期的な収支計画を立てることが重要です。

4. 設置には十分なスペースが求められる

産業用蓄電池は容量が大きい分、ユニット自体が大型化しやすく、設置には一定のスペースが必要です。

さらに、蓄電池本体に加え、パワーコンディショナーや分電盤などの周辺機器も設置するため、実際に必要となるスペースは、蓄電池本体のサイズ以上になります。

また、設置場所には制限があり、直射日光を避けた風通しのよい場所や浸水リスクのない場所など、安全を考慮した選定が必要です。

既存の施設に導入する場合は、動線や安全性を考慮した場所の確保が課題となるでしょう。

5. 運用方法を間違えると費用対効果が低くなる

蓄電池は、自社の電力使用状況や導入目的に合ったものを選び、適切に運用しなければ、十分な効果を得られません。

選び方や使い方を誤ると、投資に見合う成果が出にくくなります。たとえば、以下のようなケースです。

  • 電力使用量に対して、必要以上に大容量の蓄電池を導入してしまう
  • 蓄電池の容量が小さすぎて、ピークカットや停電対策として十分に機能しない
  • 電気料金の安い夜間に充電できていない
  • 電気料金が高い昼間に、電力会社から購入した電力を使用してしまう

費用対効果を高めるには、蓄電池の適切な容量選定に加え、電力の使い方を最適化する運用が必要です。

蓄電池を導入する際のポイント

蓄電池を導入する際のポイント

蓄電池を導入するポイントは以下の2つです。

  • 導入目的を明確にする
  • 現在の電力使用量と契約内容を正確に把握する

ひとつずつ見ていきましょう。

導入目的を明確にする

蓄電池を導入する際は、まず「BCP対策(停電・災害)」なのか「電気代削減」なのか、目的を明確にすることが重要です。

導入目的によって、選ぶべき蓄電池の仕様や運用方法が異なるためです。

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導入目的適した蓄電池の特徴
BCP対策(停電・災害)・建物全体に電力を供給できる
・長時間稼働が可能な大容量タイプ
電気代削減・太陽光発電と連携できる
・ピークシフト、ピークカットを目的とした時間帯別の充放電制御が可能

目的が曖昧なまま導入を進めると、必要な機能が不足していたり、オーバースペックで無駄なコストが発生したりします。

蓄電池の種類については「蓄電池4種類を徹底比較!用途別の使い分けと選ぶときのポイント」で解説しております。

現在の電力使用量と契約内容を正確に把握する

蓄電池を適切に選定するには、まず自社の電力使用状況を正確に把握する必要があります。

1日のうちどの時間帯に電力使用のピークが発生しているかを確認しましょう。あわせて、現在の電力契約プランや料金単価も整理しましょう。

これらの情報をもとに、蓄電池導入による効果をシミュレーションします。

データに基づいて検討すると、費用対効果の見極めがしやすくなり、経営判断の精度を高めることにつながります。

蓄電池に関するよくある質問

蓄電池に関するよくある質問

蓄電池に関するよくある質問をまとめました。

  • 蓄電池は何年で元が取れますか?
  • 蓄電池に固定資産税はかかりますか?

順番に見ていきましょう。

蓄電池は何年で元が取れますか?

中小規模オフィス向けの50kWh程度の設備では、補助金なしの場合で10〜15年程度が投資回収の目安です。太陽光発電との併用やピークカットによる基本料金削減効果が大きい場合は、回収期間が短縮されることもあります。

蓄電池に固定資産税はかかりますか?

企業が事業用として蓄電池を導入した場合、原則として固定資産税の課税対象です。税額は「評定額 × 税率1.4%」で算出され、取得価格が1,000万円の場合、年間の固定資産税額はおおよそ14万円となります。

まとめ

蓄電池は電気代削減やBCP対策、脱炭素経営の推進に有効です。ただし、初期費用や運用設計には慎重な検討が欠かせません。

導入目的を明確にし、電力使用データに基づいた設計・運用を行うことが電気代の削減につながります。

株式会社メンテルでは、施設全体のエネルギーを可視化し、蓄電池を含めた最適な電力運用を通じて、貴社のエネルギー戦略を支援いたします。

蓄電池の導入効果を最大化したいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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