コンビニの電気代の相場や内訳、高騰の理由、節約方法を解説

コンビニの電気代の相場や内訳、高騰の理由、節約方法を解説

「コンビニの電気代が高額で困っている」
「コンビニの電気代をどうにかして節約したい」

このような不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。

電気代の高騰によってコンビニは、利益率の低下または商品の値上げの選択を迫られるかもしれません。

とくに後者ならばお客様からの印象が悪くなる可能性が高く、客足が遠のくことにつながります。

コンビニを安定して経営するには、電気代の相場や内訳、高騰の理由、節約方法などを把握することが重要です。

本記事ではコンビニの電気代に関する基礎知識をまとめております。ぜひ最後までお読みください。

目次

コンビニの1ヶ月の電気代は約27.8万円

コンビニの1ヶ月あたりの電気代は約27.8万円です。

東京都内の平均的な年間電気料金である約334万円を12ヶ月で割って試算しました。

約334万円 ÷ 12ヶ月 = 278,333…円

ただし、コンビニの立地や規模、季節によっても電気代は異なります。たとえば、東京23区内にあるビル内にあるテナントだと大きな看板が不要です。

一方、路面に面した店舗型のコンビニだと、運転手が遠くからでも見えるように大きな看板を設置する必要があります。

路面店では看板の照明コストがかかるため、その分電気代がかかるでしょう。また夏季と冬季は空調に使用する電力が多くなるためさらに高額となります。

参考:東京都環境局 東京都地球温暖化防止活動推進センター

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コンビニの1日の電気代

コンビニの1日の電気代は約9,150円です。

・コンビニの1年の電気代:約334万円
・約334万円 ÷ 365日 = 約9,150円

上記の電気代は、1年間の電気料金を日割りした値なので季節を考慮していません。

たとえば、冷房を多く使用する夏季(7〜9月)の電気料金単価は、夏季以外の季節に比べて高くなります。

例として、東京電力エナジーパートナーの業務用低圧電力の料金単価は以下の通りです。

スクロールできます
夏季27円14銭
その他季25円57銭
電気料金単価(1kWh)

このため、季節によっては電気代が高くなります。

コンビニの1時間の電気代

コンビニの1時間あたりの電気代は約381円です。

・コンビニの1年間の電気代:約334万円
・約334万円 ÷ 365日÷ 24時間 = 約381円

ただし、コンビニの電気代は時間帯によって異なります。

電力会社によっては電力使用量が多い8〜22時以外に、料金単価を割引しているプランを提供しているためです。

また、深夜帯では看板や駐車場の電灯に電力を消費します。このように時間帯によって電気代は変わってきます。

参考:九州電力|低圧季時別電力プラン

【タイプ別】コンビニの電気代の内訳

コンビニの電気代の内訳は、店舗のタイプによって異なります。

・ビルインタイプ
・単独タイプ
・夜間閉店タイプ

東京都環境局のアンケート調査から、各店舗の電気代の内訳を解説します。

自社のコンビニで何にお金がかかっているのかを把握するための、参考にしてみてください。

なお、店舗によって敷地面積や設備内容が異なる点に注意が必要です。

ビルインタイプ

ビルインタイプは、ビルの1階に立地しており、24時間営業をしている店舗のことです。

電気代の内訳は、以下の通りです。

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設備名称フライヤーなしフライヤーあり
空調設備22.2%24.1%
照明設備17.5%15.9%
冷蔵・冷凍設備41.0%32.6%
加熱保温設備11.3%19.3%
その他設備8.0%8.1%

ビルインタイプでは、冷蔵・冷凍設備の電気使用量がもっとも多く、次いで空調設備が大きな割合を占めます。

コンビニには飲料や冷凍食品などを保管する冷蔵・冷凍設備があり、多くの電力を消費します。

また、加熱保温設備の電気代の割合は、フライヤーの有無によって大きく異なることがわかりました。

単独タイプ

単独タイプとは、車通りの多い道路沿いに立地しており、駐車場が併設されている店舗を指します。

単独タイプの電気代の内訳は以下の通りです。

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設備名称フライヤーなしフライヤーあり
空調設備15.8%20.6%
照明設備19.3%15.9%
冷蔵・冷凍設備39.7%24.6%
加熱保温設備16.2%26.1%
その他設備9.0%12.8%

フライヤーがある店舗は、加熱保温設備の電気代が冷蔵・冷凍設備を上回っています。

また、夜間には駐車場の電灯にも電力を消費します。ビルインタイプに比べて照明設備にかかる電気代が高い可能性があるでしょう。

夜間閉店タイプ

夜間閉店タイプは、ビルインタイプのうち、ビルが閉まる時間に合わせて閉店するタイプの店舗です。

その電気代は以下の通りです。

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設備名称フライヤーなし
空調設備6.7%
照明設備8.9%
冷蔵・冷凍設備71.1%
加熱保温設備8.9%
その他設備4.4%


夜間閉店タイプは、夜間に空調や照明を使用しない分、冷蔵・冷凍設備の電気代の割合が大きくなります。

また、日中はビル全体の空調を利用できるため、空調設備の割合は小さくなるでしょう。

さらにフライヤーがないため、加熱保温設備の割合も小さくなります。

コンビニの電気代は高騰中

近年、コンビニの電気代は少しずつ高騰しています。

新電力ネットのデータをもとに、2016年から2024年までの業務用低圧電力単価の推移をまとめました。

出典:新電力ネット|全国の電気料金単価より株式会社メンテルが作成

トレンドラインとは、電気料金単価の長期的な傾向のことです。2016年4月には20/kWhですが、2024年5月には25/kWhを超えます。

また、2024年の夏季は記録的な猛暑となったため、政府より「酷暑乗り切り緊急支援」が実施されました。

この制度は、2024年の8〜10月の電気・ガス料金を一定額値引きするものです。

2024年11月時点で同支援は終了しており、さらに電気料金単価は季節を問わず高騰している傾向にあるため、今後も電気代は上がるでしょう。

参考:経済産業省|2024年8月、9月及び10月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可を行いました

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コンビニの電気代が高騰している理由

コンビニの電気代が高騰している理由は大きく3つあります。

・燃料費の高騰
・電力供給の不足
・再エネ賦課金の値上げ

電気代の高騰は日本国内だけの問題ではなく、国際情勢の影響を大きく受けます。

コンビニを長期的な視点で経営するために、電気代が高騰している背景を理解しましょう。

燃料費の高騰

火力発電に必要な天然ガスや石炭の価格は、2040年まで上昇すると予測されています。

燃料費が高騰している要因は大きく2つです。

・コロナ禍からの経済回復による、世界中のエネルギー需要の高まり
・ロシアのウクライナ侵攻の影響による、ロシア産以外の燃料費の高騰

これらの国際情勢は長期的に継続すると見られています。

資源エネルギー庁によると、日本の発電に必要な一次エネルギー自給率は、11.3%と低水準です。そのため、発電に必要な燃料の多くを、海外から購入しています。

世界的に値上げした燃料を多く輸入する必要があるため、燃料費の高騰が電気代に直結します。

参考:
新電力ネット|石炭価格の推移
新電力ネット|天然ガス価格の推移
資源エネルギー庁|エネルギー白書2022 第2節 世界的なエネルギー価格の高騰とロシアのウクライナ侵略

電力供給の不足

日本国内における電力の供給不足の要因は大きく2つです。

・原子力発電所の稼働減少
・日本国内の電力需要の増加

東日本大震災の影響で多くの原子力発電所が停止しました。

資源エネルギー庁の資料によると、稼働している原子力発電所は震災前の60基から2024年1月時点で13基まで減少しています。

日本では火力発電によるシェアが増え、稼働に必要な燃料費高騰が電気代に大きな影響を与えるようになりました。

加えて、今後はデジタル化が進むにつれて、国内の電力需要が増加するとされています。

参考:経済産業省|2030年度におけるエネルギー需給の見通し

再エネ賦課金の値上げ

再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金単価)の値上げも電気代の高騰の大きな要因です。

再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーの普及を推進するための制度です。

再エネ賦課金の値上げは直接電気料金に影響します。電気料金を決める要素に再エネ賦課金が含まれるためです。

電気料金 = 基本料金 + 電力量料金 + 再エネ賦課金

2012年の制度開始時には0.22円/kWhでしたが、2024年度は3.49円/kWhとなり過去最高の金額でした。

さらに、電力中央研究所の予測によれば、2030年には再エネ賦課金が3.5〜4.1円/kWhほどに上昇する見込みです。

参考:新電力ネット|再生可能エネルギー発電促進賦課金の推移

コンビニの電気代の節約方法

コンビニの節電方法を詳しく解説します。

コンビニの設備は大きく以下のように分けられます。

・加熱・保温設備の節約方法
・冷蔵・冷凍設備の節約方法
・空調設備の節約方法
・照明設備の節約方法


すぐにできる方法もあれば、設備投資が必要な方法もあります。自社の店舗に適した節電方法を試してみてください。

参考:
東京都環境局|コンビニ店長のための節電ガイド
東京都環境局|コンビニエンスストアの省エネルギー対策

加熱・保温設備の節約方法

コンビニの加熱・保温設備には以下のものがあります。

・おでんのウォーマー
・ホットドリンクのショーケース
・ホットスナックや肉まんのショーケース
・電子レンジや給湯ポット


とくに、冬季はおでんのウォーマーを使う店舗が多くなるため、電力使用量が増加します。

節約方法は以下の通りです。

スクロールできます
節約方法節電理由
おでん加熱時に蓋を閉める蓋を閉めるとウォーマーの熱が逃げるのを防げるため
フライヤーのセーフモードを活用するセーフモードを使用すれば加熱時間を抑えられるため
ホットドリンクは常温から温める温める時間を短縮できるため
給湯ポットを利用者数に合わせる給湯ポットの数を最適化させると、電力消費を効率化できるため

冷蔵・冷凍設備の節約方法

コンビニの冷蔵・冷凍設備には以下のものがあります。

・ドリンクや冷凍食品のリーチイン
・冷凍食品やアイス類用の冷凍ケース
・弁当やスイーツ類の冷蔵ショーケース

コンビニでは冷蔵・冷凍設備の電力消費量が大きいため電力ロスに注意しましょう。

節約方法は次の通りです。

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節約方法節電理由
ショーケースのフィルターを清掃するフィルターの定期的な清掃は、冷蔵・冷凍設備の電力ロスを抑えられるため
リーチインの開閉を減らす開閉を減らすと、リーチイン内の温度を保ちやすいため
ショーケースの吸排気口をふさがないショーケースのエアーカーテンを冷気の流れを妨げると無駄な電力を消費するため
省エネ設備に見直す省エネな冷蔵・冷凍設備に変えると、消費電力を抑えられるため

空調設備の節約方法

コンビニの店舗内の空気は、人の出入りによって外に逃げてしまいます。

そのため、来客が多い時間帯は空調効率が悪くなります。

とくに、夏季と冬季には空調の稼働が増えるため、以下のような節電対策が必要です。

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節約方法節電理由
フィルターを清掃するフィルターを清掃すると、冷暖房の効率を高められるため
室外機の環境を見直す直射日光が当たったり、風通しが悪かったりすると、空調効率が下がるため
温度設定を見直す空調の温度を1℃緩和させるだけで、電力消費量の削減が見込まれるため
夏場は窓にスクリーンをつける窓にロールスクリーンを取り付けると、室温の上昇を抑えられるため
全熱交換器を導入する店舗内の熱を室外に逃さず空調負荷を抑えられるため

照明設備の節約方法

コンビニの照明設備には以下の通りです。

・店舗内の照明
・ショーケースの照明
・トイレやバックヤードなどの照明
・駐車場の外灯
・看板の照明

駐車場がある店舗は外灯にも電力を消費します。店舗の立地に応じた節電対策を試みましょう。

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節約方法節電理由
電気の消し忘れをなくす人がいない場所の電気を消すと、その分節約につながるため
店舗内の照度を見直す照明の明るさの度合いを低くすれば節約につながるため
屋外照明の点灯時間を短縮する屋外の明るさに応じて、屋外の点灯時間を短くすると節電につながるため
細分化照明回路制御装置を導入する太陽光やショーケースの照明を利用して電力消費を抑えられるため
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まとめ

本記事ではコンビニの電気代の相場や内訳、高騰している背景、節約方法などを解説しました。

コンビニの電気代を節約するには、電力が何に消費されているのかを把握して、自社の店舗タイプに適した方法を選ぶことがポイントです。

ただし、他店舗展開する企業では、レギュレーションをすべてのスタッフに共有し、節電状況を徹底管理するのが難しいケースがあるでしょう。

株式会社メンテルでは、電気代を節約するためにAIやIoTを活用したサービスを提供しています。

空調や照明の自動化によって、複数の店舗の電力を一元管理できます。 電気代を節約したいと考えている本部総括の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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