
省エネと脱炭素って何が違うの?
何から対策を始めればよいかわからない。
こういった悩みを解決する記事です。
- 省エネと脱炭素の違い
- 脱炭素経営に取り組んだほうがよい理由
- 省エネにより脱炭素を実現する方法



はじめまして。
この記事の執筆者の井上智樹と申します。
竹中工務店で設備設計におけるBIMや環境シミュレーションの活用を推進した後に、AIベンチャーGRIDで主にスマートシティ関連PJのPMとして提案から開発まで一気通貫で担当。2023年より空調制御による省エネや電力見える化を支援する株式会社メンテルを経営しています。
省エネによる脱炭素経営を実施すると、建物の電気代を節電できるだけでなく、資金調達にも有利に働きます。簡単にできる省エネ方法や大規模施設がエネルギー使用量を抜本的に最適化する方法を解説しているので、ぜひお役立てください。
省エネと脱炭素の違い


省エネはエネルギーの消費を抑える取り組みであり、脱炭素は二酸化炭素の排出を実質ゼロにする考え方を指します。
| 項目 | 省エネ | 脱炭素 |
|---|---|---|
| 目的 | エネルギー消費を減らすこと | CO2排出量を実質ゼロにすること |
| 主な取り組み | LED照明への変更高効率空調の導入空調制御の最適化 | 再生可能エネルギーの活用化石燃料の使用削減CO2の吸収・削減 |
| 関係 | 脱炭素につながる手段 | 省エネや再エネ導入などによって目指す結果 |
省エネと脱炭素は似た言葉として使われることもありますが、目的や役割は異なります。省エネは脱炭素を進めるための手段のひとつであり、まず取り組みやすい対策といえます。
省エネとは:エネルギー消費を減らす取り組み
省エネとは、電気やガス、燃料などの使用量を減らし、無駄なエネルギー消費を抑える取り組みです。
工場やオフィスにおいては、LED照明への切り替えや高効率空調の導入、空調設備の運用改善などが代表的な対策です。
上記のような対策によって、少ないエネルギーで設備を効率よく稼働しやすくなり、毎月の電気代や燃料費を抑えます。
省エネは企業のコスト削減だけでなく、化石燃料の使用量や発電時のCO2排出量を抑えることにもつながります。企業が脱炭素へ取り組むうえで、最初に検討しやすい施策です。
脱炭素とは:CO2排出量を実質ゼロにする考え方
脱炭素とは、企業が活動するなかで生じるCO2の排出量を減らし、削減しきれない分は森林による吸収やCO2回収技術、カーボンクレジットの活用などで補い、全体として実質ゼロにする考え方です。


日本政府も2050年までにカーボンニュートラルを実現する方針を掲げており、企業にもCO2排出量の削減やエネルギー利用の見直しが求められています。
具体的な取り組みには、次のようなものがあります。
- 再生可能エネルギーの活用
- 化石燃料の使用削減
- エネルギー効率の向上
- 電気自動車の導入
- 森林保全によるCO2吸収
- CO2回収・貯留技術(CCUS)の活用
脱炭素は、地球温暖化対策だけでなく、企業価値の向上や取引先からの信頼獲得にも関わる経営課題として重要性が高まっています。
省エネによる脱炭素経営に取り組んだほうがよい理由


省エネによる脱炭素経営に取り組んだほうがよい理由は、次の3点です。
- 光熱費・燃料費を削減できるため
- 資金調達に有利に働くため
- 企業のブランド力の向上につながるため
光熱費・燃料費を削減できるため
省エネによる脱炭素経営に取り組むと、光熱費や燃料費の削減につながります。
脱炭素を実現するには、企業がエネルギー使用量を把握し、設備や運用方法を見直しながら省エネを進めることが重要です。
たとえば、LED照明への切り替えや空調設定の最適化、燃料を使用する設備の運用改善によって、無駄なエネルギー消費を抑えやすくなります。
その結果、電気やガス、燃料の使用量とCO2排出量を削減することが可能です。
資金調達に有利に働くため
脱炭素経営に取り組むと、ESG投資や環境配慮型融資の対象として評価される場合があります。
近年は、環境問題や社会課題への取り組みを重視して企業を評価する「ESG投資」が拡大しており、投資家や金融機関も企業の環境配慮や持続可能性を判断材料のひとつとして見るようになっています。
CO2削減目標を掲げ、省エネ対策を継続している企業は、エネルギーコストの抑制や環境規制への対応力の向上につながりやすく、中長期的な成長が期待される企業として評価を受けるケースも少なくありません。
また、金融機関によっては、環境配慮型の企業に向けた優遇融資制度を設けているケースもあります。脱炭素経営は環境負荷の低減だけでなく、企業の資金調達力や経営基盤の強化にもつながる取り組みです。
企業のブランド力の向上につながるため
脱炭素経営への取り組みは、企業イメージやブランド力の向上につながります。商品やサービスを選ぶ際に、企業の環境配慮や社会課題への取り組みを重視する消費者や取引先が増えているためです。
とくに大企業を中心に、サプライチェーン全体でCO2排出量削減を求める動きも広がっており、脱炭素への対応状況が取引先の選定基準に含まれるケースもあります。
環境負荷の低減へ積極的に取り組む姿勢を示すことで、顧客や取引先からの信頼獲得につながり、企業価値の向上も期待できるでしょう。
脱炭素経営は環境対策に留まらず、企業の競争力強化にも関わる重要な取り組みです。
省エネにより脱炭素を実現する方法


脱炭素を達成するには、さまざまな方法があります。なかでも、省エネやCO2削減効果が期待できる代表的な方法は次の4つです。
- LED照明へ切り替える
- 空調制御を最適化させる
- EMSでエネルギー使用量を見える化する
- 再生可能エネルギーを導入する
自社に合った省エネ対策を知ると、電気代削減や脱炭素推進に向けた具体的な取り組みを進めやすくなるでしょう。
LED照明へ切り替える
既存の照明をLED照明へ切り替えることは、取り組みやすい省エネ対策のひとつです。
資源エネルギー庁は、従来型蛍光灯からLED照明へ切り替えると、消費電力を約50%抑えられると示しています。
消費電力を抑えられれば、発電時に発生するCO2排出量の削減にも貢献できます。
さらにLED照明は寿命が長いため、電球交換の頻度を減らすことが可能です。工場や倉庫など高所照明が多い施設では、交換作業の軽減にも役立ちます。
空調制御を最適化させる
空調設備は電力使用量が大きくなりやすいため、運用を見直すことで大きな省エネ効果が期待できます。
新しい空調設備を導入するだけでなく、室温や稼働状況に合わせて設定温度や風量を調整すると、無駄な電力消費を抑えやすくなります。
とくに工場・倉庫・オフィスでは、利用エリアごとに空調を制御することが重要です。
たとえば、オフィスでは使用中の会議室だけ空調を稼働させる、工場では人の少ないバックヤードの空調を弱めるといった運用改善が考えられます。



株式会社メンテルの個別空調制御最適化サービスでは、AIを活用して空調の稼働状況を自動で調整し、省エネ運用や脱炭素推進をサポートします。
EMSでエネルギー使用量を見える化する
エネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入し、エネルギー使用量を見える化することも、省エネを進めるうえで重要な取り組みです。
EMSを活用すると、設備ごとの電力使用量や稼働状況、時間帯別のエネルギー消費を可視化できます。
データを分析すると、エネルギーの無駄が発生している設備や時間帯を特定しやすくなり、効果的な省エネ対策を行うことが可能です。
EMSについては「エネルギーマネジメントシステム(EMS)の種類とは?メリット・デメリットも紹介」をご確認ください。
再生可能エネルギーを導入する
再生可能エネルギーの導入は、企業の脱炭素化を進める有効な方法です。
屋根や敷地に太陽光パネルを設置し、発電した電力を自家消費すると、化石燃料由来の電力使用を減らし、CO2排出量削減につなげられます。
また、自社で発電設備を持たずに、電力会社との契約を再生可能エネルギー由来の電力へ切り替える方法もあります。
再生可能エネルギーの導入は、電気代高騰への備えだけでなく、環境配慮に取り組む企業としてイメージ向上にも役立つでしょう。
太陽光発電の導入メリットは「産業用の太陽光発電のメリット5選!企業が導入判断をするポイント」で詳しく解説しています。
省エネによる脱炭素化に関するよくある質問
省エネによる脱炭素に関するよくある質問をまとめました。
- 省エネ法でCO2削減の目標は定められていますか?
- 企業にCO2削減の義務はありますか?
- 省エネ法でCO2削減の目標は定められていますか?
-
日本では、省エネ法により2050年カーボンニュートラル実現に向けて、2013年度比で2030年度までに温室効果ガスを46%削減する目標を掲げています。さらに、2035年度60%、2040年度73%削減も目指しています。
- 企業にCO2削減の義務はありますか?
-
一定規模以上の企業には、CO2削減に関する報告義務が課されています。たとえば、2026年4月から開始された排出量取引制度では、年間CO2排出量10万トン以上の法人が対象です。
まとめ
省エネや脱炭素は、電気代削減やCO2排出量削減だけでなく、企業価値向上にもつながる取り組みです。
LED照明や空調制御の最適化、EMSによるエネルギー使用量の見える化などを組み合わせると、効率的な省エネ運用を進めやすくなります。
また、設備を導入して終わりではなく、継続的に運用改善を行うことも重要です。



株式会社メンテルでは、AIやIoTを活用し、空調設備を含むエネルギー設備の運用最適化や脱炭素推進をサポートしています。
省エネや脱炭素に向けた運用改善を進めたい方向けに『お役立ち資料』も用意しているので、ぜひ以下よりお受け取りください。

