
空調の適切な設定温度が知りたい。
効果的な省エネ対策は?
こういった悩みを解決する記事です。
- 省エネにつながる空調の設定温度
- 自社で取り組める空調の省エネ対策
- 省エネ効果を高める空調の運用改善の方法



はじめまして。
この記事の執筆者の井上智樹と申します。
竹中工務店で設備設計におけるBIMや環境シミュレーションの活用を推進した後に、AIベンチャーGRIDで主にスマートシティ関連PJのPMとして提案から開発まで一気通貫で担当。2023年より株式会社メンテルを経営しています。
空調の省エネ対策は、設定温度を緩和するだけで実現できます。しかし、大規模施設では、人の流動や扉の開け閉めが多く、空調の設定温度を緩和するだけでは、省エネは実現できても快適性が損なわれる恐れがあります。
本記事では、自社ですぐに取り組める省エネ対策だけでなく、AIやIoTを活用して空調の運転方法を最適化させて、節電しながら快適な環境を維持する方法を述べているので、ぜひご覧ください。
省エネにつながる空調の設定温度
環境省は、省エネにつながりつつ快適性を維持できる室温の目安を、冷房時は28℃、暖房時は20℃としています。
以下に、環境省が推奨する室温や設定温度の目安をまとめました。


ただし、実際の空調の設定温度は、建物の断熱性や日射の影響、利用人数などによって異なります。そのため、施設ごとの環境に合わせて空調の設定温度を調整することが重要です。
自社で取り組める空調の省エネ対策


自社で取り組める空調の省エネ対策は、次の4つです。
- フィルター清掃を定期的に行う
- 室温に合わせて湿度を調整する
- 風向きを制御して温度ムラをなくす
- ブラインドや遮熱カーテンで日光を遮る
フィルター清掃を定期的に行う
空調の省エネを実現するには、定期的なフィルター清掃が効果的です。フィルターにホコリやゴミがたまると、空調効率が低下し、電気代の増加につながる可能性があるためです。
フィルターを定期的に清掃すれば、空気の流れがスムーズになり、空調設備への負荷を軽減できます。また、設備の長寿命化も期待できるでしょう。
施設によっては専門業者がメンテナンスを行う場合がありますが、月に1〜2回ほど掃除機でホコリやゴミを吸い取るのがよいでしょう。
清掃方法や実施頻度について詳しく知りたい方は「空調のフィルターを清掃する効果的な方法は?掃除の頻度や注意点も解説」をご覧ください。
室温に合わせて湿度を調整する
適切な湿度を保つと、設定温度を大きく変えなくても省エネと快適性を両立しやすくなります。
人が感じる暑さや寒さは、室温だけでなく湿度にも大きく左右されるためです。たとえば、同じ室温でも湿度が20%高くなると、手足の末端は約4℃高く感じることがあります。
とくに冬場は室温を必要以上に上げるよりも、加湿器を活用して湿度を調整するほうが、設定温度を抑えながら、快適な室内環境を維持しやすくなります。
東京都の健康・快適居住環境の指針では、室内の湿度は40〜60%を目安としています。加湿を行う際は、この範囲を目安に調整しましょう。
風向きを制御して温度ムラをなくす
空調の省エネ対策には、風向きを調整して室内の温度ムラをなくすことが重要です。
暖かい空気は天井付近に、冷たい空気は床付近にたまりやすい性質があります。そのため、空調の風向きや風量が適切でないと、場所によって温度差が生じ、一部のエリアを快適にするために空調設備が必要以上に運転し続ける原因となります。
温度ムラを抑えるには、風向きだけでなく、空気を効率よく循環させることも大切です。次のような方法を取り入れることで、空調設備の負荷軽減につながります。
- 風向きの調整:冷房時は水平、暖房時は下向きに設定する
- 自動運転モードの活用:室温に応じて風量や風向きを自動で調整し、無駄な電力消費を抑える
- サーキュレーターの併用:室内の空気を循環させることで温度ムラを抑える
風向きや運転方法を見直すだけでも、省エネ効果が期待できます。詳しい方法は「空調の省エネ方法7選|設備更新と運用改善で電気代を抑える」で解説しています。
ブラインドや遮熱カーテンで日光を遮る
ブラインドや遮熱カーテンで直射日光を遮ると、室内の温度上昇を抑えることができ、空調効率を高められます。
とくに夏場は、窓から入り込む日射熱によって室温が上昇し、空調設備の負荷が大きくなりがちです。その結果、設定した室温まで冷却するために空調設備の運転時間が長くなり、消費電力の増加につながることがあります。
ブラインドや遮熱カーテンを設置して、室温の上昇を抑えられれば、設定温度を必要以上に低くする必要がありません。空調の負荷を軽減できるため、電気代の削減につながります。
省エネ効果を高める空調の運用改善の方法


建物の利用状況や外気温は日々変化するため、継続的な省エネには空調設備の運用改善も重要になります。
省エネ効果を高める空調の運用改善の方法は、次の2つです。
- 空調設備の運用状況を可視化する
- AIとIoTを活用した空調制御を取り入れる
空調設備の運用状況を可視化する
空調の省エネ効果を高めるには、まず空調設備の運用状況を可視化することが重要です。
空調設備の稼働状況やエネルギー使用量を把握すると、どの時間帯やエリアで電力を多く消費しているのかがわかります。
たとえば、誰も利用していない時間帯に空調が運転していたり、一部のエリアだけ過剰な冷暖房が行われていたりする状況を把握できれば、運転スケジュールや設定条件を見直すきっかけになるでしょう。
運用状況を可視化することで、改善すべきポイントをデータに基づいて判断できるようになります。さらに、蓄積したデータはAIによる分析や自動制御にも活用できるため、より高度な空調運用につなげることが可能です。
AIとIoTを活用した空調制御を取り入れる
AIやIoTを活用した空調制御を取り入れると、建物の利用状況に合わせて空調を自動で最適化でき、省エネ効果を高めることが可能です。
IoTセンサーが室温や外気温、利用人数、設備の稼働状況などのデータを収集し、そのデータをもとにAIが空調負荷を分析して、その時々に適した運転パターンを自動で判断します。
これにより、次のような運用改善が期待できます。
- 建物の利用状況に応じて空調を自動で最適化できる
- エリアごとの空調を細かく制御し、過剰な冷暖房を抑えられる
- 手動調整を減らし、継続的な運用改善につなげられる
とくにオフィスや商業施設など利用状況が日々変化する建物では、人による細かな調整だけでは最適な運転を維持することが難しくなります。AIとIoTを活用した空調制御は、こうした変化に合わせて運転を継続的に最適化できる点がメリットです。
空調の設定温度と省エネに関するよくある質問


空調の設定温度と省エネに関するよくある質問をまとめました。
- 設定温度と室温が異なるのはなぜですか?
- 設定温度だけで省エネ対策は十分ですか?
- 既存の空調設備でも運用改善はできますか?
- 設定温度と室温が異なるのはなぜですか?
-
エアコンは本体内部のセンサーで温度を測定しているため、実際に人が過ごす場所の温度と差が生じることがあります。また、日射や建物の断熱性能、利用人数、空気の循環状況なども室温に影響します。そのため、設定温度は目安と考え、実際の室温や体感を確認しながら調整しましょう。
- 設定温度だけで省エネ対策は十分ですか?
-
十分とはいえません。空調設備の最適な運転条件は、外気温や日射、利用人数、時間帯などによって日々変化します。そのため、設定温度を一定にするだけでは、過剰な冷暖房や不要な運転が発生し、省エネ効果を十分に引き出せない場合があります。継続的な省エネ効果を得るには、空調設備の運用状況を可視化し、AIやIoTを活用した空調制御を組み合わせることが重要です。
- 既存の空調設備でも運用改善はできますか?
-
できます。AIやIoTを活用した空調制御システムを導入すると、設備を大規模に更新しなくても、運用の最適化が可能です。メンテルの個別空調制御最適化を活用すれば、建物の利用状況に応じた効率的な運転を実現し、省エネや設備管理業務の効率化につながります。
まとめ
空調の省エネを実現するには、適切な設定温度を理解するだけでなく、湿度管理やフィルター清掃、風向きの調整など、自社で取り組める対策を継続することが大切です。
さらに、省エネ効果を高めるには、空調設備の運用状況を可視化し、AIやIoTを活用した空調制御によって運用を最適化する方法も有効です。



メンテルでは、AIが最適な運転計画を自動立案・実行し、省エネと快適性を両立する「個別空調制御最適化」を提供しています。
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