
蓄電池を導入したが、思うように電気料金が下がらない
いつ充放電するのが効率的なのか判断がつかない
こういった疑問に答える記事です。
- 蓄電池の充放電を制御する仕組み
- 蓄電池の充放電を制御する方法
- 蓄電池の効果を最大化させる運用ポイント



はじめまして。
この記事の執筆者の井上智樹と申します。
竹中工務店で設備設計におけるBIMや環境シミュレーションの活用を推進した後に、AIベンチャーGRIDで主にスマートシティ関連PJのPMとして提案から開発まで一気通貫で担当。2023年より株式会社メンテルを経営しています。
当社では、AIやIoTを活用して発電量・電力使用量・デマンドのデータを可視化し、最適な充放電制御の設計・改善を支援しています。単なる見える化にとどまらず、運用改善まで踏み込むことで、再現性のあるコスト削減を実現可能です。
蓄電池の充放電を制御する仕組み


蓄電池の充放電の制御とは、電力の使用状況や発電量に合わせて、いつ・どのくらい電気を貯め、放出するかを管理する仕組みのことです。
たとえば、昼間に太陽光の余剰電力が出たときに充電し、夜間や使用量が増えたタイミングで放電します。
太陽光発電の出力変動や施設内の電力需要に応じて、充電と放電を切り替えることで、電気料金の削減や環境負荷の低減につなげます。
とくに購入電力量を抑える自家消費の拡大や、基本料金を決定する最大デマンド値の抑制には、適切な充放電の制御が欠かせません。
蓄電池の種類によって充放電特性や適した運用方法は大きく異なります。自社の運用目的に合った蓄電池を選定しないと、制御を最適化しても十分な効果は得られません。
詳しくは「蓄電池4種類を徹底比較!用途別の使い分けと選ぶときのポイント」をご覧ください。
蓄電池の充放電の制御が重要な理由


蓄電池の充放電の制御が重要な理由は、次の3つです。
- 太陽光発電の自家消費率を高めるため
- ピークカットやデマンド削減に活用できるため
- 逆潮流を防ぐため
上記のポイントを理解すると、蓄電池をより効果的に運用する考え方がわかります。
電気料金の削減やエネルギー管理の改善につながるため、ぜひ確認していきましょう。
太陽光発電の自家消費率を高めるため
蓄電池の充放電を適切に制御すると、太陽光発電の自家消費率を高められます。
太陽光発電は時間帯や天候によって発電量が変動するため、発電量が多い時間帯には余剰電力が発生します。
そこで、余剰電力を蓄電池へ充電し、夜間や天候不良で発電量が少ない時間帯に放電するのが効果的です。
これにより、電力会社から購入する電力量を減らし、電力コストの削減につながります。
また、停電時には非常用電源としても活用することが可能です。
ピークカットやデマンド削減に活用できるため
蓄電池の放電を電力需要のピーク時間帯に合わせると、契約電力を決める基準となる最大デマンド値を引き下げられます。
電力の基本料金は過去1年間の最大デマンドで決まるため、短時間のピークを抑えるだけでも長期的なコスト削減につながります。
さらに、電力会社の要請に応じて蓄電池から放電を行い、電力系統の安定化を支援する「デマンドレスポンス」にも参加可能です。
デマンドレスポンスについては「【パッと見OK】デマンドレスポンスの種類やメリットをわかりやすく解説」で詳しく解説しています。
蓄電池の充放電を制御する主な方法


蓄電池の充放電を制御する主な方法は次の3つです。
- 時間帯に合わせて充放電する制御
- 電力使用量のピークを抑える制御
- 太陽光発電の発電量に合わせて充放電する制御
自社の電力使用パターンや設備の運用方針に合った制御方法を選ぶことが重要です。
電力コストの削減やエネルギー利用の最適化にもつながるため、ひとつずつご覧ください。
時間帯に合わせて充放電する制御
蓄電池の充放電は、あらかじめ設定した時間帯や曜日に合わせて制御できます。設備の稼働時間が決まっている施設では、安定した運用がしやすい点が特徴です。
たとえば、次のような運用が可能です。
- 電力料金が比較的安い夜間に蓄電池へ充電する
- 施設の稼働が集中する昼間に蓄電池から放電する
- 休日や稼働が少ない時間帯は充電を優先する
時間帯に合わせて充放電を調整すると、ピークカットや電力コストの削減を図りやすくなります。
ただし、この方法は想定する電力使用量と実態がズレると、余剰電力を取りきれない、ピークを抑えきれないといったロスが発生します。そのため、より精度の高い制御と組み合わせて活用することが重要です。



株式会社メンテルでは、最適な充放電・取引計画の自動立案によるコスト削減と効率的な電力利用をサポートしております。
充放電の制御にお悩みの方は、以下の公式サイトより『お役立ち資料』を無料ダウンロードできますので、お気軽に覗いてみてください。
電力使用量のピークを抑える制御
蓄電池は、電力使用量のピークを抑えるように制御することも可能です。
電力需要が高まるタイミングで蓄電池から放電すると、契約電力の基準となる最大デマンドの上昇を抑えられ、電気料金の削減が可能です。
たとえば、次のような運用が考えられます。
- 空調や生産設備の稼働が重なり、電力使用量が急増したときに蓄電池から放電する
- 設定したデマンド値に近づいたタイミングで放電を開始する
- 電力使用量が落ち着いたタイミングで蓄電池の充電を行う
上記のように電力使用量のピークを抑える仕組みを「ピークカット」と呼びます。
ピークカットの仕組みは「太陽光発電のピークカットとは?コスト削減できる理由と導入の注意点」で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
太陽光発電の発電量に合わせて充放電する制御
蓄電池は、太陽光発電の発電量に合わせて充放電を行えます。
発電量が施設の消費電力を上回るタイミングで蓄電池に充電し、発電量が少ない時間帯に放電すると、電力の自家消費を増やすことが可能です。
たとえば、次のような運用が考えられます。
- 太陽光発電で余った電力を蓄電池へ充電する
- 夜間や天候不良で発電量が少ない時間帯に蓄電池から放電する
- 発電量の変動に合わせて充放電を自動で調整する
太陽光発電と蓄電池を連携させると、購入電力量の削減や再生可能エネルギーの有効活用につながります。
蓄電池の効果を最大化させる4つの運用ポイント


蓄電池の性能を引き出すには、次の4つの運用ポイントが有効です。
- 蓄電池の充放電効率を理解する
- 発電量・電力使用量を把握する
- 蓄電池の運用目的を明確にする
- エネルギーマネジメントシステムを活用する
電力コストの削減やエネルギー利用の最適化につながるため、順番に見ていきましょう。
1. 蓄電池の充放電効率を理解する
蓄電池の効果を最大化させるには、充放電効率を理解しておくことが重要です。
蓄電池は充電した電力をすべて取り出せるわけではなく、電気を出し入れする際に一定のエネルギーロスが発生します。
この指標を「充放電効率」や「ラウンドトリップ効率(RTE)」と呼びます。たとえば、RTEが90%の場合、100kWh充電しても取り出せるのは約90kWhです。
さらに、パワーコンディショナーの変換ロスや配線抵抗、自然放電などが重なり、実際のシステム効率は80〜90%程度になることが一般的です。
エネルギーロスを考慮しないと、充電しても電気代が下がらない恐れがあるため、充放電効率を踏まえて運用計画を立てる必要があります。
2. 発電量・電力使用量を把握する
蓄電池を効率的に運用するには、発電量と電力使用量を正確に把握することが重要です。
太陽光発電がいつ・どれくらい発電しているのか、施設がどの時間帯にどれだけ電力を消費しているのかを把握しないと、最適な充放電のタイミングを設計できません。
さらに、蓄電池の残量や充放電状況をリアルタイムで確認すると、過充電・過放電を防げます。
こうしたデータをもとに制御を行うと、無駄な充放電を減らし、コスト削減効果を最大化できます。また、効率的な運用や将来的な設備計画にも役立つでしょう。
3. 蓄電池の運用目的を明確にする
蓄電池を効果的に活用するには、運用目的を明確にしておくことが重要です。
蓄電池は、ピークカットによる基本料金の削減や、太陽光発電の自家消費率向上など、さまざまな目的で活用できます。
どの効果を優先するかによって、充放電のタイミングが変わります。
たとえば、ピークカットを重視する場合は需要が高まる時間帯に放電し、自家消費を高めたい場合は太陽光発電の発電量に合わせて充放電を行うとよいでしょう。
目的が曖昧なまま運用すると、効果が中途半端になりやすく、想定より電気代が下がらない恐れがあります。まずは削減したいコストを明確にし、それに合わせて制御方針を定めることが大切です。
4. エネルギーマネジメントシステムを活用する
蓄電池の効果を高めるには、エネルギーマネジメントシステム(EMS)による自動制御が有効です。
EMSを導入すれば、太陽光発電や蓄電池、施設内の電力使用状況を一元的に管理でき、発電量や需要データに基づいて充放電を自動で制御できます。
これにより電力コストの削減や運用効率の向上につながります。
さらにデータを蓄積して制御を継続的に見直せるため、運用精度を徐々に高めることも可能です。人手に依存した運用から脱却し、再現性のあるコスト削減につなげられます。
蓄電池の充放電の制御に関するよくある質問


蓄電池の充放電の制御に関するよくある質問をまとめました。
- 蓄電池は充放電を繰り返すと劣化しますか?
- 蓄電池の寿命は何年くらいですか?
- 蓄電池を長持ちさせるにはどうすればいいですか?
順番に解説していきます。
蓄電池は充放電を繰り返すと劣化しますか?
劣化します。蓄電池は使用するほど、内部にダメージが蓄積されます。また、満充電や残量がほとんどない状態を続けることも劣化を早める原因です。適切な充放電制御によって極端な状態を避けると、性能低下を抑えられます。
蓄電池の寿命は何年くらいですか?
一般的に10〜15年程度が目安です。ただし、設置環境や運用方法によって実際の寿命は大きく変わります。高温環境での使用や過度な充放電を繰り返す運用では劣化が早まる傾向があります。運用環境を踏まえた管理が重要です。
蓄電池を長持ちさせるにはどうすればいいですか?
過酷な条件を避けて運用することが重要です。とくに温度管理が大切で、0〜30℃前後の範囲で使用すると劣化を抑えやすくなります。また、急速充電の多用や常に満充電の状態を維持する運用も負荷を高める原因です。定期的な点検や適切な制御を行うと、寿命を延ばしやすくなります。
まとめ
蓄電池の充放電制御は、導入した設備の価値を大きく左右する重要な要素です。適切に制御すると、電力を効率的に活用でき、太陽光発電との連携やピークカットによる電力コスト削減にもつながります。
さらに、EMSを活用して電力データを可視化し、自動制御を取り入れると、より効率的な運用が可能になるでしょう。



株式会社メンテルは、AIやIoTを用いて蓄電池の充放電を最適化し、電力コスト削減と効率的な電力利用を促すサポートをしています。
電気料金が想定より下がらない、ピークを抑えきれていないといった、蓄電池の運用でよくある課題の解決策を、データに基づいて提案できます。

