
工場の空調の電気代が高い。
何から省エネ対策を進めればよいかわからない。
こういった悩みを解決する記事です。
- 工場の空調に省エネが求められる理由
- 工場の空調の電気代が増える主な原因
- 工場で実践できる空調の省エネ対策



はじめまして。
この記事の執筆者の井上智樹と申します。
竹中工務店で設備設計におけるBIMや環境シミュレーションの活用を推進した後に、AIベンチャーGRIDで主にスマートシティ関連PJのPMとして提案から開発まで一気通貫で担当。2023年より株式会社メンテルを経営しています。
当社はAIやIoTを用いて、空調設備を含むエネルギー設備の運用最適化や保全業務の効率化を支援しています。工場の空調設備においても、運転最適化や点検、保守によって省エネ効果を大きく変えられます。
電気代の削減や空調効率の改善を進めるために、ぜひ本記事を役立ててみてください。
工場の空調に省エネが求められる理由


工場の空調に省エネが求められる主な理由は、主に以下の2つです。
- 環境に配慮する必要があるため
- 電気料金が高騰するリスクがあるため
電気料金が高騰するリスクがあるため
工場の空調に省エネが求められる理由のひとつは、電気料金が高騰するリスクがあるためです。近年、燃料価格や再エネ賦課金の上昇によって、電気料金が高騰しています。
米国エネルギー情報局(EIA)によると、燃料価格は2050年頃まで上昇傾向だと予想されており、今後も電気料金の負担が増加する可能性があります。
工場では、生産設備に加えて空調設備も多くの電力を消費するため、運用改善や省エネ対策をして電気料金を減らすことが大切です。
電気料金を減らせると、工場の経費削減につながり、設備調達や採用に資金を使えるようになります。
環境に配慮する必要があるため
脱炭素や環境配慮の取り組みが、企業のブランディングや資金調達において重要視されるため、工場の空調でも省エネ対策が必要です。
政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体として0にするカーボンニュートラルを目指すと宣言しており、企業にも温室効果ガスの排出量削減が求められています。
大手企業はサプライチェーン全体でCO2削減を進めており、取引先にも環境配慮を求めるケースが増えています。
上記からCO2削減を抑える取り組みのひとつとして、空調の省エネ化が必要です。
工場の空調の光熱費が増える主な原因


工場の空調の光熱費が増える主な原因は、次の3つです。
- システム全体の効率の低下
- 負荷変動への追従不足によるロス
- 経年劣化によるパフォーマンス低下
光熱費が増える原因をひとつづつ特定して改善していくと、空調を効率的に省エネ化できるため、その判断材料としてご活用ください。
システム全体の効率の低下
工場の空調の光熱費が増加する原因のひとつは、システム全体の効率が低下していることです。工場では、空調やポンプ、冷却塔など複数の設備が連携して稼働しています。
しかし、各設備が適切に連携できていない場合、システム全体の効率が低下し、無駄なエネルギー消費につながることがあります。
たとえば、熱源機は高効率で運転していても、ポンプの流量や冷却塔の運転条件が適切でなければ、設備全体では余分な電力を消費するかもしれません。
工場の空調では機器単体の効率だけでなく、システム全体でエネルギーロスが発生していないかを確認することが重要です。
負荷変動への追従不足によるロス
空調負荷の変化に合わせた運転ができていないことも、光熱費を増大させる要因です。工場では、生産設備の稼働状況や外気温、作業人数、時間帯によって必要な空調能力が変化します。
しかし、負荷が小さい時間帯にも熱源機やポンプ、ファンが高出力のまま稼働していると、必要以上の電力を消費してしまいます。
とくに一定の設定値で運転し続ける制御では、実際の空調負荷に対して過剰な運転になりやすく、電力ロスが発生しやすくなるでしょう。
空調負荷の変動に応じて、運転台数・送水量・風量などを適切に調整することが重要です。
空調負荷については「空調負荷とは?負荷率を高める要因と低減させる3つの方法を解説」で解説しています。
経年劣化によるパフォーマンス低下
空調設備の経年劣化も、光熱費を増大させる要因です。
空調設備を長期間使用すると、フィルターや熱交換器、室外機などに汚れが蓄積し、熱交換効率や送風効率が低下します。その結果、設定温度に到達するまでに時間がかかり、より多くの電力を消費してしまいます。
また、ポンプやファン、センサー類などの劣化によって、本来の性能を発揮できなくなる場合もあるでしょう。
導入時のまま運用を続けていると、現在の設備状態や運用環境に合わなくなり、効率的な運転が難しくなる点に注意が必要です。
工場の空調の省エネ対策


工場で実践しやすい空調の省エネ対策を紹介します。
- 設定温度を緩和する
- 空調フィルターの掃除をする
- 電力会社を見直す
- カーテンで空間を仕切る
- 空気循環を改善する
- 高効率な空調設備を導入する
- EMSを活用してエネルギー管理を行う
- 空調熱源の制御を最適化する
上記の対策を理解すると、自社で取り組みやすい省エネ施策や、優先的に見直すべきポイントを把握しやすくなります。
設定温度を緩和する
空調の設定温度の見直しは、費用をかけずにすぐに取り組める省エネ対策です。
工場では、機械設備の発熱や温度ムラによって、必要以上に設定温度を下げてしまうケースがあります。
設定温度を適正にすると、空調設備の運転負荷を抑え、消費電力の削減が可能です。環境省によると、設定温度を1℃緩和すると、冷房時は約13%、暖房時は約10%の消費電力削減が見込めるとされています。
工場では空調方式や設備規模、作業環境によって効果が異なるため、現場の温熱環境を確認しながら適切な温度設定や運用ルールを整えることが重要です。
空調フィルターの掃除をする
環境省によると、空調を適切に清掃すると、消費電力を約3%削減できるとされています。
フィルターや熱交換器に汚れが蓄積すると、空気の流れが悪化し、空調効率が低下します。設定温度に到達するまでに時間がかかり、余分な電力を消費してしまうでしょう。
定期的にフィルターを清掃すれば、風量低下を防ぎ、機器への負荷を抑えながら空調効率を維持しやすくなります。
空調フィルターの清掃方法については「空調のフィルターを清掃する効果的な方法は?掃除の頻度や注意点も解説」をご覧ください。
電力会社を見直す
電力会社の見直しは、空調設備そのものの消費電力量を減らす施策ではありませんが、電気料金の削減につながる施策です。
工場では、空調設備の稼働時間や生産スケジュールによって、電力使用量が変動します。
自社の使用状況に合っていない契約プランでは、必要以上に電気料金が高くなる場合があります。
市場価格に応じて電気料金が変動する「市場連動型プラン」もあるため、料金単価だけでなく、使用時間帯やピーク電力の傾向も踏まえて比較検討することが重要です。
カーテンで空間を仕切る
間仕切りカーテンの活用は、比較的低コストで導入しやすい省エネ対策です。
工場内の広い空間を区切ると、必要なエリアだけを重点的に空調できるため、空調効率の改善につながります。
たとえば、作業エリアと倉庫エリア、空調が必要な区画と不要な区画を分けることで、無駄な冷暖房を抑えやすくなります。
また、窓や出入り口へカーテンを設置すると、外部からの熱の流入や流出を抑えることも可能です。
空気循環を改善する
空気循環の改善は、工場の空調効率を高めるために有効な対策です。
工場内は天井が高く、暖かい空気が上部に、冷たい空気が下部に滞留しやすいため、温度ムラが発生する場合があります。
サーキュレーターを活用して空気を循環させると、室内の温度ムラを抑えやすくなります。温度ムラが解消されれば、設定温度を極端に調整しなくても、快適な作業環境を維持しやすくなるでしょう。
工場の空調を改善する方法は「工場空調の改善方法7選|暑さ対策と電気代削減のポイントを解説」をご覧ください。
高効率な空調設備を導入する
古い空調設備を、最新の業務用エアコンやインバータ機器へ更新すると、消費電力の削減が期待できます。
とくに長期間使用している設備では、経年劣化によって空調効率が低下しているケースも少なくありません。
設備を選定する際は、国が定める「トップランナー制度」を参考にしながら、省エネ性能や運用条件を比較することが重要です。
ただし、設備更新には初期費用がかかるため、現在の電力使用量や稼働時間、更新による削減効果を踏まえて、投資対効果を確認する必要があります。
EMSを活用してエネルギー管理を行う
EMS(エネルギーマネジメントシステム)を活用したエネルギー管理も、工場の省エネ対策として有効です。
EMSとは、消費電力や設備の稼働状況を見える化し、エネルギー使用を効率的に管理するシステムです。
センサーによってデータを収集すると、電力使用量が増えている時間帯や、無駄な運転が発生している設備を把握しやすくなります。
また、蓄積したデータの分析により、空調設備の運用改善やエネルギー使用量の最適化につなげることが可能です。
EMSの詳細は「エネルギーマネジメントシステム(EMS)の種類とは?メリット・デメリットも紹介」で紹介しています。
空調熱源の制御を最適化する
空調熱源の制御の最適化は、高い効果が期待できる工場の省エネ施策です。
外気温や空調負荷に応じて、熱源機の運転台数や冷水温度、ポンプ流量、冷却塔の運転条件などを最適化すると、システム全体のエネルギーロスを抑えやすくなります。
AIを活用した空調制御では、過去の運転データや気象条件、生産スケジュールなどをもとに空調負荷を予測し、設備全体の最適な運転パターンを自動で判断することも可能です。
設備更新を行わなくても、制御設定や運転ロジックを見直すことで省エネにつながる場合があります。
工場の空調の省エネ対策を進める手順


工場の空調の省エネ対策を進める際は、現状把握から改善施策の実行まで、段階的に進める必要があります。
- 1. 現状の電力使用量を把握する
-
空調コストを見える化し、消費電力の高い設備や運用課題を整理する。
- 2. 改善施策の優先順位を決める
-
設定温度の見直しのような、比較的取り組みやすい施策から進め、投資対効果を比較して優先順位を決定する。
- 3. 専門業者へ相談して最適化を進める
-
設備状態を診断してもらい、更新・修繕・運用改善などを比較しながら、最適な管理体制を整える。
工場の設備構成や運用状況によって、最適な改善方法が異なるため、自社にあった運用改善を進める必要があります。
まとめ
工場の空調の省エネ化は、電気代削減と環境負荷低減の観点で取り組む必要があります。
省エネ化のやり方としては、空調の設定温度の見直しやフィルターの清掃など、費用をかけずに実施できる対策があります。ただし、より抜本的な省エネ対策をするには、空調熱源の制御最適化や運用改善が欠かせません。



株式会社メンテルでは、AIやIoTを活用した空調設備の運用最適化や、熱源設備の制御改善による省エネ支援を行っています。
工場の省エネ化で悩んでいる方は『お役立ち資料』も用意しているので、ぜひ以下よりお受け取りください。

