
スマートビルディングの市場規模はどのくらい?
今後も需要は拡大していくの?
こういった疑問を解決する記事です。
- スマートビルディングの市場規模
- スマートビルディングの市場規模が拡大する背景
- スマートビルディングで注目される技術
- スマートビルディングの普及に向けた課題
- スマートビルディングを導入する際のポイント



はじめまして。
この記事の執筆者の井上智樹と申します。
竹中工務店で設備設計におけるBIMや環境シミュレーションの活用を推進した後に、AIベンチャーGRIDで主にスマートシティ関連PJのPMとして提案から開発まで一気通貫で担当。2023年より株式会社メンテルを経営しています。
スマートビルディングは、AIやIoTなどを活用して建物や設備のデータを収集・分析し、省エネや快適性の向上、建物管理の効率化につなげる建物です。
省エネ・脱炭素への対応や建物管理の効率化が求められるなか、スマートビルディング市場は世界・日本ともに今後の拡大が見込まれています。
スマートビルディングとは


スマートビルディングとは、IoTやAIなどのデジタル技術を活用して建物や設備のデータを収集・分析し、設備の管理や制御を最適化する建物のことです。
従来の設備自動化にとどまらず、収集したデータを活用することで、省エネや快適性の向上、建物管理の効率化などにつなげられる点が特徴です。
スマートビルディングの基礎知識については、以下の記事で詳しく解説しています。


スマートビルディングの市場規模


スマートビルディング市場は、脱炭素化(GX)への対応や、人手不足を背景としたデジタル化(DX)の波を受け、世界・国内ともに急速に拡大しています。
ここでは、以下の2つに分けて市場規模を見ていきます。
- 世界のスマートビルディング市場規模
- 日本のスマートビルディング市場規模
世界のスマートビルディング市場規模
Fortune Business Insightsの調査によると、世界のスマートビルディング市場は、2025年の1,430億米ドルから2034年には6,915億6,000万米ドルまで拡大すると予測されています。
約9年間で4倍以上の成長が見込まれる巨大市場です。
- 北米市場:584億2,000万米ドル(2025年時点・最大規模)
- アジア太平洋市場:322億4,000万米ドル(2025年時点・高成長エリア)
AIやIoTを活用したエネルギー管理や空調制御などへの需要の高まりが、世界のスマートビルディング市場の成長を後押ししています。
日本のスマートビルディング市場規模
Grand View Researchの調査によると、日本のスマートビルディング市場は、2025年の31億3,720万米ドルから2033年には148億5,080万米ドルまで拡大すると予測されています。
2025年時点では、エネルギー管理や空調制御などを含む「ソリューション」分野が市場の大部分を占めている状況です。
今後は「サービス」分野が高い成長率を示すと予測されており、コンサルティングや導入支援、サポート・メンテナンスなどの需要拡大が見込まれています。
スマートビルディングの市場規模が拡大する背景


スマートビルディングの市場規模が拡大する背景は、次の3つです。
- 省エネ・脱炭素への対応が求められている
- 建物管理の省人化・効率化が求められている
- AI・IoTの進化で設備データの活用範囲が広がっている
省エネ・脱炭素への対応が求められている
スマートビルディングの市場が拡大する背景のひとつに、省エネ・脱炭素への対応があります。
日本では2050年までのカーボンニュートラル実現を目指しており、オフィスビルや商業施設などの建物にも、エネルギー消費量やCO2排出量の削減が求められています。
建物内の温度や利用状況、気象データなどをもとに空調や照明の運転を最適化すると、無駄なエネルギー消費を抑え、省エネ・脱炭素につなげられるでしょう。
なお、ビルの環境対策において『省エネ』は電気代を抑えるための直接的な手段であり、『脱炭素』はその先にある温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すゴールという位置づけです。
混同しやすい両者の定義の違いや、脱炭素経営に着手するステップは以下で詳しく解説しています。


建物管理の省人化・効率化が求められている
スマートビルディングの市場が拡大する背景には、建物管理の省人化や効率化への需要もあります。
建物管理や設備保守を担う人材の不足や、管理業務の負担増加を背景に、複数の施設を遠隔で監視したり、一元管理したりする仕組みが求められています。
IoTやAIを活用すれば、設備の異常や故障の兆候を早期に把握でき、点検・保守業務の負担を軽減することが可能です。
企業の約9割が『現場の人材確保が困難』と回答するいま、限られた人員でビルの安全と管理品質を維持するにはDXが欠かせません。
ベテランのノウハウ喪失や属人化を防ぎ、少人数でも安定運用を可能にする具体的な仕組みは以下で解説しています。


AI・IoTの進化で設備データの活用範囲が広がっている
AIやIoTの進化によって設備データを活用できる場面が増えていることも、スマートビルディング市場が拡大する背景のひとつです。
IoTやセンサーを活用すれば、温湿度や人流、電力使用量、設備の稼働状況など、建物内のさまざまなデータを収集できます。
集めたデータをAIで分析すると、空調や照明の運転を最適化したり、設備の異常を早期に把握したりすることが可能です。
省エネ・脱炭素への貢献から利用者の利便性・安全性向上まで、今スマートビルディングへの転換が強く求められている背景と具体的な導入効果は、以下で詳しく解説しています。


スマートビルディングで注目される技術
スマートビルディングでは、IoTやAIなど複数のデジタル技術を組み合わせて、建物や設備のデータを収集・分析し、管理や制御に活用します。
代表的な技術と主な役割は、以下のとおりです。
| 技術名称 | 主な役割 |
|---|---|
| IoT・センサー | 温湿度、人流、電力使用量、設備稼働状況など多様なデータを収集する |
| AI | 収集したデータを分析し、需要予測や異常検知、設備運転の最適化などに活用する |
| BEMS・BAS | BEMSは建物のエネルギーを管理し、BASは空調や照明などの設備を監視・制御する |
| ビルOS | メーカーや用途ごとに分かれた設備データを集約し、システム同士の連携を支える |
| デジタルツイン | 現実の建物や設備の状態を仮想空間に再現し、シミュレーションや運用改善に活用する |
これらの技術を連携させることで、建物のエネルギー使用量の削減や設備管理の効率化、快適性の向上などにつなげられます。
スマートビルディングに必要なビルOSの仕組みや役割については、以下の記事で詳しく解説しています。


スマートビルディングの普及に向けた課題


スマートビルディングの普及に向けた課題は、次の3つです。
- 導入・運用にコストやリスクがかかる
- 設備・システムごとに連携条件が異なる
- セキュリティ・データ管理への対応が必要になる
導入・運用にコストやリスクがかかる
スマートビルディングの導入には、センサーや通信ネットワーク、管理システムなどの整備が必要なため、一定の初期費用がかかります。
そのため、導入によってどの程度の省エネや業務効率化が見込めるのか、費用対効果を事前に確認することが重要です。
また、システム障害や通信トラブルが発生すると、設備の停止や管理業務への影響が広がる可能性があります。
安定した運用を続けるためには、トラブル発生時の対応方法やバックアップ体制をあらかじめ整えておきましょう。
設備・システムごとに連携条件が異なる
既存ビルでは、設備のメーカーや導入時期によって通信方式やデータ形式が異なるため、そのままではシステム同士を連携できない場合があります。
複数の設備やシステムのデータをまとめて活用するには、それぞれの接続方法やデータ形式を確認することが重要です。
既存設備との連携を考慮してシステムを構築すると、設備を活かしながらスマート化を進めやすくなります。
セキュリティ・データ管理への対応が必要になる
スマートビルディングでは、空調や照明などの設備をネットワークにつなぐため、不正アクセスや情報漏えいを防ぐためのセキュリティ対策が重要です。
また、複数の設備や企業でデータを共有・活用する場合は、誰がデータを管理するのか、どこまでアクセスできるのかをあらかじめ決めておく必要があります。
安全に運用するには、セキュリティ対策とデータ管理のルールを整えておくことが大切です。
運用管理の専門知識や導入コスト、セキュリティ対策といった3大ハードルと、それらを無理なく解決するアプローチは、以下の記事で詳しく解説しています。


スマートビルディングを導入する際のポイント


スマートビルディングを導入する際のポイントは、次の3つです。
- 導入目的と解決したい課題を明確にする
- 既存設備を活かせるシステム構成を検討する
- 導入後の運用・改善まで見据える
押さえるべきポイントを理解しておくと、自社に合ったシステムを選びやすくなり、導入後の運用もスムーズに進めやすくなります。
導入目的と解決したい課題を明確にする
スマートビルディングを導入する際は「何を改善したいのか」を明確にしましょう。
たとえば、省エネや管理業務の効率化、快適性の向上など、目的によって必要なデータや導入する技術は異なります。
目的が曖昧なままシステムを導入すると、十分な効果を得られない可能性もあります。
自社の課題を整理したうえで、必要な機能や技術を選ぶことが大切です。
具体的な導入イメージを持つために、以下の記事で実際のスマートビルディング事例をご覧ください。


既存設備を活かせるシステム構成を検討する
スマートビルディングの導入には、既存のBEMSや空調・照明などから、どのようなデータを取得できるか確認することが重要です。
すべての設備を入れ替えるのではなく、既存設備を活かしながら必要な機能を追加すると、段階的にスマート化を進められます。
また、将来的な設備の追加やサービスの拡張にも対応できるよう、他のシステムと連携しやすく、拡張性のある構成を検討しておきましょう。
導入後の運用・改善まで見据える
スマートビルディングは、システムを構築して終わりではなく、収集したデータを継続的に活用し、設備の運用方法を見直し続ける必要があります。
導入後は、省エネ率や運用コスト、室内の快適性などを確認しながら、効果を検証します。
必要に応じて、運用や改善まで支援できるパートナーと連携することも有効です。
建物からどれだけ膨大なデータを取得しても、「どの設備をどう調整すれば省エネと快適性を両立できるか」を現場だけで判断し続けるのは容易ではありません。
専任のエンジニアを社内で雇用・育成するコストをかけるよりも、メンテナンスやトラブル対応の知見を持つ専門会社に委託することで、社内リソースを圧迫せず、効率的に投資対効果の向上を目指せます。
スマートビルディングの実現やAIを活用した設備運用をご検討中の方は、以下から資料をチェックしてみてください。
スマートビルディングに関するよくある質問


スマートビルディングに関するよくある質問をまとめました。
- 既存ビルでもスマートビルディング化できますか?
- スマートビルディングで空調の省エネはできますか?
- 既存ビルでもスマートビルディング化できますか?
-
できます。既存ビルでも、現在の設備やシステムを活かしながら段階的にスマート化することが可能です。空調や照明など効果を見込みやすい設備からIoTやAIを導入すると、費用を抑えながら進められます。
- スマートビルディングで空調の省エネはできますか?
-
空調の省エネにつなげられます。空調の稼働データや気象データをAIで分析し、建物の負荷に合わせて運転を最適化することで、無駄なエネルギー消費を抑えることが可能です。また、設備を買い替えなくても、既存の空調設備の運転計画や制御方法を見直すことで、省エネ効果が期待できます。
まとめ
スマートビルディングは、IoTやAIを活用し、省エネや建物管理の効率化、快適性の向上につなげる仕組みです。
世界・日本ともに市場拡大が見込まれており、省エネ・脱炭素への対応や人手不足を背景に、今後も需要は高まっていくでしょう。
導入時は、既存設備を活かしながら必要な機能を段階的に追加し、導入後もデータを活用して運用を改善することが重要です。



メンテルでは、既存の空調設備や運転データを活用したAI制御により、省エネと設備運用の高度化を支援しています。
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